売り場案内の仕方|指を差さずに伝える
目次
売り場案内は、1日に何度も聞かれるのに、やり方を決めていない業務です。人によって「あちらです」で済ませたり、売り場まで一緒に行ったりと、対応がばらばらになります。
この記事では、売り場案内の言葉と、どこまで案内するかの線引きを整理します。指を差さずに伝える形から始めます。
結論:売り場案内は「言葉と手」の2つで伝える
売り場案内でいちばん効くのは、言葉と手の両方を使うことです。
言葉だけだと、方向が伝わりません。手だけだと、どこまで行けばよいかが伝わりません。2つを組にすると、聞き返しが減ります。
ポイントはここです。手は指を差さずに、5本の指をそろえて手のひらを上に向けます。人差し指で差す形は、相手を指すのと同じ動きになります。
一般には「あちらです」と言葉だけで返す店が多くあります。ただ、言われた側は方向が分かっても、距離と目印が分かりません。その場でもう一度探すことになります。
指を差さない理由
指を差す動きは、人を指す動きと同じです。
売り場の方向を指しているつもりでも、その先にお客さまが立っていれば、その人を指したことになります。混んでいる店では、必ず誰かがその線の上にいます。
一般には、5本の指をそろえて手のひらを上に向ける形が使われます。手首から先をまっすぐにして、指先で方向を示します。
反対の手を添えるとさらに丁寧に見えます。ただし、荷物を持っているときに無理に添えると動きが不自然になります。片手でかまいません。
言葉に入れる3つ
売り場案内の言葉には、3つを入れます。
| 入れるもの | 例 |
|---|---|
| 方向 | 「まっすぐ進んでいただいて」 |
| 目印 | 「突き当たりの青い棚の」 |
| 場所 | 「右側にございます」 |
2つ目の目印がいちばん効きます。方向と場所だけだと、そこに着くまで合っているかどうか分かりません。
目印は、動かないものを選びます。什器、柱、看板、壁の色。特売の台や季節の展示は、来週には無くなっています。
距離を言葉にする
案内では、どれくらい歩くかを添えます。
「すぐそこです」は、人によって受け取り方が違います。「10メートルほど先の」「3つ目の棚の」と、数えられる形にします。
売り場が広い店では、距離を伝えると途中で引き返す人が減ります。遠いと分かっていれば、途中で不安になりません。
どこまで案内するか
売り場案内で迷うのは、どこまで連れて行くかです。
一般には、3つの線が使われます。
| 線 | どんなとき |
|---|---|
| 言葉で伝える | 見える範囲、通路の先 |
| 途中まで一緒に行く | 曲がる場所がある |
| 売り場まで一緒に行く | お探しの商品が特定されている |
迷ったら一緒に行くほうが確実です。ただし、レジを1人で見ている時間帯は離れられません。その場合は言葉で伝えて、「分からなければまたお声がけください」を添えます。
一緒に行くときの歩き方
一緒に行くときは、お客さまの少し前を歩きます。
真横だと、どちらが案内しているか分かりません。後ろだと、お客さまが方向を決めることになります。
半歩前、通路の外側が一般的な位置です。ときどき振り返って、付いてきているかを確かめます。
着いたら、その場で商品を示して一言添えます。「こちらでございます」だけで離れると、探し直すことになります。棚のどのあたりかまで示します。
商品が無いときの伝え方
案内した先に商品が無い場合があります。「無い」で終わらせないでください。
一般には、3つのどれかを添えます。入荷の予定、別の売り場、代わりになる商品。どれも無いなら、他店の在庫を調べられるかを伝えます。
伝えられることが本当に何も無いときでも、調べた事実を伝えます。「確認いたしましたが、ただいま在庫がございません」と言えば、探してくれたことは伝わります。
場所を知らないときの返し方
売り場案内でいちばん困るのは、自分が場所を知らないときです。
避けたいのは、推測で答えることです。間違った場所を案内されると、お客さまは2回歩くことになります。
一般には、「確認してまいります」と言って調べる形が取られています。調べる時間を伝えると、待つかどうかを本人が決められます。
| 返し方 | 起きること |
|---|---|
| 推測で答える | 2回歩かせる。信用を失う |
| 分かりませんと返す | 行き止まりになる |
| 確認してまいります | 待ってもらえる |
| 知っている人に引き継ぐ | いちばん早い |
4つ目がいちばん早いことが多くあります。近くに分かる人がいるなら、自分で調べるより引き継ぐほうが早く終わります。
入口で聞かれる商品を覚えておく
売り場案内で聞かれる商品は、だいたい決まっています。
一般には、上位10ほどで全体の半分を占めます。トイレ、レジ、よく出る商品、季節の商品。この10を覚えておくだけで、その場で答えられる割合が大きく変わります。
覚え方は、聞かれた商品を1週間書き留めることです。並べると、同じものが何度も出てきます。
書き留めたものは、売り場案内の一覧として1枚にまとめます。新しく入った人には、この1枚を最初に渡します。
案内の言葉を1枚にする
売り場案内の言葉は、1枚にまとめておくと揃います。
書くのは4つです。手の形、言葉に入れる3つ、どこまで案内するか、場所を知らないときの返し方。
一覧があると、新しく入った人がその日から案内できます。全部を覚えてから出そうとすると、いつまでも聞かれるたびに人を呼ぶことになります。
表示と案内をつなげる
売り場案内が多い場所は、表示が足りていないことのサインです。
同じ商品を何度も聞かれるなら、その商品の表示を増やすほうが根本の解決になります。案内の技術で吸収し続けると、忙しい日に回らなくなります。
一般には、月に1回、聞かれた商品の記録を見て表示を見直す形が取られています。記録があると、どこに表示を足すかが数字で決まります。
なお、避難の経路や消火設備の表示を隠す形で案内表示を貼らないでください。掲示の位置に迷う場合は、所轄の消防署に確かめてください。
新しく入った人への渡し方
売り場案内は、新しく入った人が最初に任される業務になりやすい部分です。
渡すのは2つだけにします。手の形と、知らないときの返し方。この2つがあれば、間違った案内をしません。
場所を覚えるのは後からで足ります。知らないと分かったときに、正しく引き継げることのほうが先です。
お手洗いを聞かれたとき
売り場案内でいちばん多く聞かれるのは、お手洗いの場所です。
急いでいることが多いので、言葉を短くします。方向と目印だけで足ります。「まっすぐ進んでいただいて、突き当たりの左手でございます」で終わります。
このとき、相手の顔をじっと見ないほうが親切です。急いでいる人にとって、時間のかかるやり取りになります。
売り場に無い場合は、無いことをすぐ伝えます。探し回らせないでください。近くに使える場所があるなら、そこまで伝えます。
子ども連れのお客さまへの案内
子ども連れの方への案内では、通る道が変わることがあります。
ベビーカーが通れない通路、階段しかない経路は避けます。エレベーターや広い通路を通る道を案内します。
一般には、店内の通れる道を1つ決めておく形が取られています。その日の展示や台車で道がふさがることがあるので、開店前に確かめておきます。
授乳やおむつ替えの場所を聞かれる場面もあります。自店に無い場合は、無いことを伝えたうえで、近くの施設の情報があれば添えます。
高齢の方への案内
高齢の方への案内では、話す速さと大きさを変えます。
言葉の内容は変えません。ゆっくり、少し大きく、短く区切る。この3つで伝わり方が変わります。
目印の選び方も変わります。色や形など、遠くからでも分かるものを選びます。小さな表示を目印にすると、着く前に分からなくなります。
距離がある場合は、途中まで一緒に行くほうが確実です。言葉で伝えて引き返させるより、結果として早く終わります。
案内した先まで見届けるか
案内したあと、着いたかどうかまで見届けるかは判断が分かれます。
一般には、見える範囲なら目で追う形が取られています。途中で止まっていたら、もう一度声をかけます。
見えない場所へ案内した場合は、「分からなければまたお声がけください」を添えます。これがあるかないかで、2回目に聞きやすいかどうかが変わります。
2回聞かれたときは、言葉ではなく一緒に行きます。同じ説明を繰り返しても、たいてい同じ結果になります。
売り場案内が上手い店の共通点
売り場案内がそろっている店には、共通していることが1つあります。
誰に聞いても同じ答えが返ってくることです。同じ商品の場所を2人に聞いて違う答えが返ると、店そのものが分かっていないように見えます。
そろえる方法は、配置の図面と、よく聞かれる商品の一覧の2つです。どちらも1枚ずつで足ります。バックヤードに貼って、配置が変わったら差し替えます。
差し替えを忘れると、古い情報でそろってしまいます。変更した日に差し替えると決めておきます。
まとめ
売り場案内は、言葉と手の2つで伝えると聞き返しが減ります。
- 手は指を差さず、5本の指をそろえて手のひらを上に
- 言葉には方向、目印、場所の3つを入れる
- 目印は動かないもの。特売の台は来週には無い
- 一緒に行くときは半歩前、通路の外側
- 知らないときは推測で答えず、確認するか引き継ぐ
避難の経路や消火設備の表示を隠す掲示はできないとされています。案内表示の位置に迷う場合は、所轄の消防署に確かめてください。
よくある質問
Q. なぜ指を差してはいけないのですか。 A. 人を指す動きと同じだからです。混んでいる店では、その線の上に必ず誰かがいます。5本の指をそろえて手のひらを上に向けてください。
Q. 両手を使うべきですか。 A. 反対の手を添えると丁寧に見えますが、荷物を持っているときは片手でかまいません。無理に添えると動きが不自然になります。
Q. 言葉に何を入れますか。 A. 方向、目印、場所の3つです。目印がいちばん効きます。方向と場所だけだと、着くまで合っているか分かりません。
Q. 目印をどう選びますか。 A. 動かないものを選んでください。特売の台や季節の展示は、来週には無くなっています。什器、柱、看板、壁の色が使えます。
Q. 「すぐそこです」でよいですか。 A. 人によって受け取り方が違います。「10メートルほど先の」「3つ目の棚の」と数えられる形にしてください。
Q. どこまで一緒に行きますか。 A. 曲がる場所があるなら途中まで、商品が特定されているなら売り場までです。迷ったら一緒に行くほうが確実です。
Q. レジを離れられません。 A. 言葉で伝えて、「分からなければまたお声がけください」を添えてください。行き止まりにしないことが大事です。
Q. 一緒に行くとき、どこを歩きますか。 A. 半歩前、通路の外側です。ときどき振り返って付いてきているかを確かめてください。
Q. 着いたあとはどうしますか。 A. その場で商品を示して一言添えてください。「こちらでございます」だけで離れると、探し直すことになります。
Q. 案内した先に商品がありませんでした。 A. 入荷の予定、別の売り場、代わりの商品のどれかを添えてください。何も無くても、調べた事実は伝えてください。
Q. 場所を知りません。 A. 推測で答えないでください。間違った場所を案内すると、2回歩かせることになります。確認するか、知っている人に引き継ぎます。
Q. 引き継ぐのと自分で調べるのはどちらが早いですか。 A. 近くに分かる人がいるなら引き継ぐほうが早く終わります。自分で調べると、その間お客さまが待ちます。
Q. 場所を覚えきれません。 A. 聞かれた商品を1週間書き留めてください。上位10ほどで全体の半分を占めます。並べると同じものが何度も出ます。
Q. 同じ商品を何度も聞かれます。 A. 表示が足りていないサインです。案内の技術で吸収し続けると、忙しい日に回らなくなります。表示を増やしてください。
Q. 案内表示をどこに貼ってもよいですか。 A. 避難の経路や消火設備の表示を隠す形では貼れないとされています。位置に迷う場合は所轄の消防署に確かめてください。
Q. お手洗いを聞かれたときは。 A. 方向と目印だけで足ります。急いでいることが多いので、短く伝えてください。じっと見ないほうが親切です。
Q. ベビーカーの方への案内で気をつけることは。 A. 通れる道を1つ決めておいてください。階段しかない経路や、狭い通路は避けます。その日の展示でふさがることがあるので、開店前に確かめます。
Q. 高齢の方への案内はどう変えますか。 A. 内容は変えず、ゆっくり、少し大きく、短く区切ってください。目印は色や形など遠くから分かるものを選びます。
Q. 案内したあと、見届けるべきですか。 A. 見える範囲なら目で追ってください。2回聞かれたら、言葉ではなく一緒に行きます。同じ説明を繰り返しても結果は同じです。
Q. 人によって答えが違うと言われました。 A. 配置の図面と、よく聞かれる商品の一覧を1枚ずつ貼ってください。配置が変わった日に差し替えると決めておかないと、古い情報でそろいます。
Q. 一緒に行くと売り場が空きます。 A. 1人で見ている時間帯は離れられません。言葉で伝えて「またお声がけください」を添えてください。誰かいるなら引き継ぎます。