言葉遣い・敬語基礎(ピラー)2026.09.16 公開KO-01

接客の言葉遣い一覧|場面別の基本フレーズ

目次

接客の言葉遣いは、覚えることが多そうに見えて、実際に使う型はそれほど多くありません。来店から見送りまでの場面が決まっているので、場面ごとに1つずつ言い方を持っておけば足ります。

この記事では、接客の言葉遣いを場面順に並べます。一覧として使えるように、よく出る場面から順に置きました。あわせて、丁寧にしようとして不自然になりやすい形も整理します。

敬語の種類から整理したい方は「接客の敬語一覧」へ。尊敬語と謙譲語の分け方をまとめています。→ 接客の敬語

結論:接客の言葉遣いは、場面ごとに1つ決めておけば足りる

接客の言葉遣いで迷うのは、選択肢が多いからです。同じ場面に3通りの言い方を知っていると、そのつど選ぶことになります。場面ごとに1つ決めて固定すると、迷う時間がなくなります。

ポイントはここです。言葉遣いの良し悪しより、店の中でそろっていることのほうが効きます。人によって言い方が違うと、お客様は対応が変わったと感じます。

一般には、接客の言葉遣いは丁寧さの度合いで3層に分かれます。どの層を使うかは業種と客層で決まります。

使う場面
標準かしこまりました小売、飲食の大半
改まった形少々お待ちくださいませ百貨店、ホテル、サロン
くだけた形承知しました常連との短いやりとり
丁寧さは3層に分かれるくだけ承知しました標準かしこまりました。小売・飲食改まり少々お待ちくださいませ。百貨店
丁寧さの3層と使う場面

接客の言葉遣い一覧:来店から見送りまで

接客の言葉遣いを、流れの順に並べます。店の決まりがある場合はそちらが優先しますが、無い場合の標準形として使えます。

迎えるとき

  • いらっしゃいませ
  • いらっしゃいませ、こんにちは
  • ただいま係の者がまいります

待たせるとき

  • 少々お待ちくださいませ
  • ただいま確認してまいります
  • 3分ほどお時間をいただけますでしょうか
  • お待たせいたしました

待たせる場面の言葉遣いは、時間か動作のどちらかを添えると印象が変わります。「少々」だけでは見通しが立ちません。

受けるとき

  • かしこまりました
  • 承知いたしました
  • Mサイズを2点、かしこまりました

確かめるとき

  • こちらでお間違いないでしょうか
  • ご注文は以上でよろしいでしょうか
  • お支払いは現金でよろしいでしょうか

確かめる言い方では、「よろしかったでしょうか」を使わない形にしておくと無難です。理由はバイト敬語とはで扱います。

渡すとき

  • お待たせいたしました
  • こちらが○○でございます
  • 品名を添えて渡すと、取り違えがその場で分かります

断るとき

  • 恐れ入りますが、そちらは切らしております
  • あいにく、こちらでは取り扱いがございません
  • お調べいたしましたが、在庫が確認できませんでした

見送るとき

  • ありがとうございます
  • ありがとうございました
  • またのご来店をお待ちしております
来店から見送りまでの代表フレーズ迎えるいらっしゃませ受けるかしこまりました確かめるよろしいでしょうか断るあいにくですが見送るありがとうございます場面ごとに1つ決めて固定する。選択肢が多いほど迷う
来店から見送りまでの場面と代表フレーズの時系列

接客の言葉遣いで、丁寧にしようとして崩れる形

丁寧にしようとして崩れる3つ二重敬語お伺いいたしま伺いますさせていただく確認させていただきます確認いたします語尾が伸びるありがとうございましたー語尾を切る
崩れる3つの形と整えた形の比較

接客の言葉遣いは、丁寧にしようとするほど不自然になることがあります。よく出る形を3つ挙げます。

二重敬語になる

「お伺いいたします」「拝見させていただきます」のように、敬語を重ねた形です。意味は通じますが、回りくどく聞こえます。

重ねた形整えた形
お伺いいたします伺います
拝見させていただきます拝見します
ご覧になられますかご覧になりますか
お召し上がりになられます召し上がります

「させていただく」が増える

「確認させていただきます」「ご案内させていただきます」は、許可をもらう場面でないと不自然になります。こちらの都合で動くときは「いたします」で足ります。

語尾が伸びる

「かしこまりましたー」「ありがとうございましたー」のように伸ばすと、形だけ言っている印象になります。語尾を切る意識だけで直ります。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

接客の言葉遣いを店の決まりとして残したい方へ。接客マニュアルや教育記録の様式は、業種別にそろえている商い屋にあります。

商い屋で様式をさがす

接客の言葉遣いは、業種で少し変わる

接客の言葉遣いの土台は共通ですが、業種によって当たり前の水準が違います。丁寧すぎても店に合わないことがあります。

業種標準的な水準特徴
コンビニ・食品標準短く、回数が多い
衣料・雑貨標準から改まった形説明が長い
飲食店業態で幅がある客層に合わせる
サロン・百貨店改まった形名前で呼ぶ場面がある

自分の店の水準が分からないときは、先輩の言い方を場面ごとに1つずつ写すのが早い方法です。全体の雰囲気を真似ようとすると時間がかかります。

接客の言葉遣いを直すときの順番

接客の言葉遣いを一度に全部直そうとすると続きません。効き目の大きい順に並べると、次のようになります。

直す順番は、効き目の大きい順1番目語尾を伸ばさない・下げない2番目待たせる場面のひと言3番目細かい言い回し
直す順番を3段階に分けた層

最初に直すのは語尾です。伸ばさない、下げない。これだけで聞こえ方が変わります。次に待たせる場面のひと言を直します。ここは苦情に直結する場所なので、効き目がはっきり出ます。

最後に、二重敬語や細かい言い回しを整えます。ここは間違えても実害が小さいので、後回しで構いません。順番を逆にすると、細かい部分に時間を使って肝心な場所が残ります。

接客の言葉遣いで、お客様の呼び方をどうするか

接客の言葉遣いのうち、迷いやすいのがお客様の呼び方です。業種によって標準が違い、間違えると距離感がずれます。

呼び方使う場面注意
お客様どの業種でも使える迷ったらこれ
○○様予約、会員、サロン読み方を確かめる
お客さん使わないくだけすぎる
そちらのお客様複数いる場面指をささない

名前で呼べる場面では、そのほうが丁寧に受け取られます。ただし、読み方を間違えると逆効果になります。予約名簿で読みが分からないときは、確認してから呼ぶか、「お客様」で通すほうが安全です。

複数のお客様がいる場面で特定の人に話しかけるときは、指をささずに手のひらで示すのが一般的です。「そちらのお客様」と言いながら人を指すと、指摘を受けることがあります。

お連れの方がいる場合の呼び方も決めておくと迷いません。「お連れ様」「ご一緒の方」が使えます。関係を決めつけた言い方は避けるほうが無難です。家族かどうか、どういう間柄かは、こちらから判断しないという線を持っておくと外しません。

接客の言葉遣いは、声に出して練習すると定着する

接客の言葉遣いは、読んで覚えるだけでは口から出ません。文字で知っていることと、とっさに言えることは別です。

練習の仕方として扱いやすいのは、次の形です。

  1. 場面を1つ決める(断るとき、待たせるときなど)
  2. その場面の言い方を1つだけ決める
  3. 出勤前に3回声に出す
  4. その日は、その場面だけ意識する

1日に1場面までにすると、他の場面が崩れません。複数を同時に変えようとすると、どれも中途半端になります。

慣れてきたら、言いにくい言葉だけ取り出して練習する形に移せます。「恐れ入りますが」「差し支えなければ」は、口になじむまで時間がかかる言葉です。逆に「かしこまりました」「ありがとうございます」は回数が多いので自然に入ります。

練習の相手がいる場合は、断る場面を見てもらうと効きます。断る言い方はその場で使う機会が少なく、実践だけでは身につきにくいためです。

接客の言葉遣いで、断りと確認の言い方を先に決めておく

接客の言葉遣いの中で、その場で組み立てるのがいちばん難しいのが断る場面です。日常の会話に無い言い方なので、経験の回数も少なくなります。先に文を決めておくと、詰まらずに済みます。

断る場面は、中身で3つに分かれます。

場面決めておく言い方
在庫がないあいにく切らしております。次回入荷は○日の予定です
取り扱いがない申し訳ございません、こちらでは扱いがございません
対応できない恐れ入りますが、そちらはお受けしかねます

「お受けしかねます」は、断り切る必要がある場面で使える言い方です。「できません」より角が立たず、「難しいです」よりあいまいさが残りません。やわらかくしすぎると断ったことが伝わらず、交渉が続きます。

確認の場面も、先に決めておくと安定します。会計時に毎回出るものなので、固定しておくと省略されにくくなります。

  • ご注文は以上でよろしいでしょうか
  • お支払いは現金でよろしいでしょうか
  • こちら、Mサイズの紺で2点でございます

支払い方法の確認は、その日のレジが合うかどうかに直結します。押し間違いは締めのずれとして出るので、言い方を決めて毎回言う形にしておくと効きます。詳しくはレジが合わないときに書きました。

接客の言葉遣いは、店のマニュアルと食い違うことがある

接客の言葉遣いを自分で整えていくと、店のマニュアルと違う形になることがあります。この場合、どちらを取るかで迷います。

一般的な整理は、マニュアルがある場面はマニュアル、無い場面は自分で固定するという分け方です。マニュアルは店全体の統一のためにあるので、個人の判断で外すと、お客様から見て対応がばらつきます。

マニュアルの言い方が気になる場合は、個人で変えるのではなく店長に伝える形になります。言葉遣いは店の決まりとして扱うものなので、変えるなら全員で変えるほうが効きます。

マニュアルが古く、実際には誰も使っていない言い方が残っていることもあります。その場合も、実態に合わせて更新するのは店の判断です。自分だけ先に変えると、新しく入った人がどちらを覚えるか迷います。

接客の言葉遣いは、混雑時に短くしてよい

混雑時に短くしてよい部分短くしてよいあいさつ・前置き・説明短くしない確認の復唱短くしない待たせるときのひと言
短くしてよい部分と残す部分の層

接客の言葉遣いは、丁寧であるほどよいとは限りません。混雑している時間帯に長い文を使うと、待っている人が増えます。

短くしてよい部分と、短くしないほうがよい部分があります。

部分混雑時理由
あいさつ短くしてよい回数が多い
前置き(クッション言葉)減らしてよい用件が遠くなる
説明短くしてよい必要なら聞かれる
確認の復唱短くしない取り違えが起きる
待たせるひと言短くしない不満に直結する

短くするときは、敬語の種類を落とさずに文の長さだけ削るのが要点です。「少々お待ちくださいませ」を「少々お待ちください」にするのは長さの調整ですが、「ちょっと待って」にすると敬語そのものが外れます。

やってはいけない省略は、確認の省略です。「以上でよろしいでしょうか」を飛ばすと、その場では速く見えても、取り違えが起きたときに戻す時間のほうが長くなります。

混雑時の言葉遣いは、店として決めておくと人によってばらつきません。どこまで短くしてよいかを決めておくと、忙しい日でも水準がそろいます。

接客の言葉遣いを、新しく入った人に渡すとき

接客の言葉遣いを人に教える立場になったときは、一覧を渡すだけでは定着しません。場面と結びついていないと、文字として覚えて終わります。

渡し方として扱いやすいのは、次の順です。

  1. まず7つの定型句だけ渡す(迎える、受ける、待たせる、詫びる、礼を言う)
  2. 1週間はそれだけで回してもらう
  3. 断る場面の言い方を1つ足す
  4. 確認の復唱を足す
  5. 細かい言い回しは、気づいたときにその場で直す

断る場面を早めに渡すのが要点です。ここは自分で組み立てるのが難しく、経験の回数も少ないので、教わらないといつまでも苦手なまま残ります。

直すときは、その場で短く伝えるほうが入ります。あとでまとめて指摘すると、どの場面のことか分からなくなります。1回に1つにすると、受けるほうも負担が軽くなります。

接客の言葉遣いを、自分の形に落とす

接客の言葉遣いは、一覧を持っているだけでは使えません。自分が実際に言う形に書き直すと、口から出るようになります。

やり方は、場面を5つ書き出して、その横に自分の言い方を書くだけです。

場面自分の言い方
迎える
待たせる
確かめる
断る
見送る

書いてみると、決まっていない場面が見つかります。多くの場合、断る場面が空欄になります。ここが、その場で組み立てている部分です。

空欄を埋めたら、しばらくその言い方だけを使います。迷わなくなった時点で、次の場面に移れます。

よくある質問

接客の言葉遣いは、マニュアルどおりでないといけませんか

店のマニュアルがある場合はそちらが優先します。無い場合は、場面ごとに自分で決めて固定する形で構いません。重要なのは、同じ場面で毎回同じ言い方になっていることです。

「〜のほう」はなぜ避けるのですか

「お会計のほう」「お席のほう」のように、意味のない「ほう」が付く形です。間違いとまでは言えませんが、気になる人が一定数います。外しても意味が変わらないので、削るほうが無難です。

常連のお客様にも同じ言葉遣いをしますか

敬語の種類は落とさないまま、改まり具合だけ下げる形が扱いやすくなります。「少々お待ちくださいませ」を「少々お待ちください」にする程度です。敬語そのものを外すと、周りのお客様にも聞こえます。

方言が出てしまいます

接客の言葉遣いとして問題になるのは、敬語が崩れる場合です。イントネーションや語彙の方言は、むしろ親しみにつながることがあります。地域の店では、無理に標準語へ寄せないほうが自然になる場面もあります。

外国のお客様にはどう言えばいいですか

日本語で対応する場合は、敬語を保ったまま文を短くするほうが伝わります。丁寧にしようとして長くすると、かえって分かりにくくなります。品名と数と金額を先に言う形にすると、聞き取ってもらいやすくなります。

名前の読み方が分からないときは

無理に読まず「お客様」で通すか、確認してから呼びます。間違えて呼ぶより、確認するほうが丁寧に受け取られます。

練習する時間が取れません

出勤前の数十秒で足ります。1日1場面、3回声に出すだけでも、文字で覚えるより早く口から出るようになります。

言葉遣いを変えたら、お客様の反応は変わりますか

すぐに売上として出るものではありませんが、聞き返される回数と、行き違いの件数は先に動きます。そこを見ると、変化を確かめられます。

まとめ

接客の言葉遣いは、場面ごとに1つ決めて固定すると迷いがなくなります。来店、待たせる、受ける、確かめる、渡す、断る、見送るの7場面を押さえれば、日常の大半は回ります。

丁寧にしようとして崩れるのは、二重敬語、「させていただく」の多用、語尾が伸びる形の3つです。どれも足し算で起きるので、減らす方向で直せます。

直す順番は、語尾、待たせる場面のひと言、細かい言い回しの順です。効き目の大きい場所から手をつけると、途中でやめても改善が残ります。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

言葉遣いを店の共通ルールにしたい方へ。接客マニュアルや従業員教育記録の様式は、業種別にそろえている商い屋にあります。

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