レジが合わないとき|違算の原因の探し方
目次
レジの違算は、数えた現金と売上データが合わない状態のことです。違算金、過不足、差異など、店によって呼び方が変わります。
レジが合わないと分かった瞬間、多くの人がまず現金を数え直します。ただ、数え間違いが原因であることは実はそれほど多くありません。原因の大半は営業中の操作にあります。この記事では、探す順番を、見つかりやすいものから並べます。
結論:レジの違算は、金額の形を見ると原因が絞れる
レジの違算を探すとき、やみくもに数え直すと時間だけが過ぎます。ずれた金額の形を見ると、原因の候補がかなり絞れます。
ポイントはここです。多いのか少ないのか、そして金額がいくらか。この2つで、見る場所が変わります。
| ずれ方 | 疑う原因 |
|---|---|
| きりのよい金額で少ない(1,000円など) | 釣銭の渡し間違い、金種の取り違え |
| 商品の価格と同じ額で少ない | 返品・取消の処理漏れ |
| 端数で少ない | 釣銭の渡しすぎ、計算の誤り |
| 多い | 釣銭の渡し忘れ、支払い方法の押し間違い |
| 合計は合うが金種が偏る | レジからの両替 |
レジの違算を探す順番
レジの違算は、見つかりやすいものから順に見ると早く終わります。数え直しは最後で構いません。
順番1:釣銭準備金の金額を確かめる
いちばん多いのが、朝入れた釣銭準備金の金額を取り違えているものです。現金にもレジにも異常が無く、引く数字が違っているだけという形です。
前日の記録を見て、実際に入れた金額と一致しているかを確かめます。ここで解決することが少なくないので、最初に見ます。
順番2:取消と返品の履歴を見る
レジの違算で次に多いのが、取消や返品の処理です。取り消したのに現金を戻していない、または戻したのに操作していないと、商品の価格と同じ額でずれます。
ずれた金額が、その日扱った商品の価格と一致していないかを見ます。一致していれば、その取引を追えば原因が分かります。
順番3:支払い方法の記録を見る
現金で受け取ったのにカードとして処理した、あるいはその逆。この取り違えは、現金と売上の両方をずらします。
ずれが大きいときは、ここを疑います。レシートの控えや取引履歴で、支払い方法ごとの件数を確かめます。
順番4:両替の有無を確かめる
営業中にレジから両替を行うと、合計は合っているのに金種だけが偏ります。記録に残していないと、原因不明のずれに見えます。
金種ごとの小計を取っていれば、ここはすぐ分かります。小計を取らずに合計だけ出していると、この原因は見つけられません。両替の扱いは釣銭管理にまとめました。
順番5:レジの中と周りを見る
引き出しの下、レジ台の隙間、床。紙幣が引き出しの奥に落ちていることは実際にあります。数え直す前に、物理的に探す場所を見ます。
順番6:数え直す
ここまでで見つからなければ、数え直します。最初にやらないのは、数え間違いが原因である割合が低いためです。数え直すときは、金種ごとに小計を出しながら進めます。
レジの違算は、どこで打ち切るか
レジの違算で消耗するのは、見つからないまま探し続ける時間です。打ち切りの目安が無いと、閉店後に長く残ることになります。
打ち切りをどこに置くかは、店の方針として決めるものです。一般には、金額と時間の両方で目安を置いている店が多くあります。
- 金額:一定額までは記録に残して翌日以降に傾向を見る
- 時間:一定時間を超えたら記録して終える
自分で決めずに、店長に確認するのが順番になります。決まりが無い場合は「決まっていません」と共有するところから始められます。決まっていない状態がいちばん時間を取ります。
打ち切った場合も、記録は必ず残します。そのとき原因が分からなくても、後日同じ形のずれが出れば並べて見られます。
レジの違算は、記録をためると原因が見える
レジの違算は、1件だけ見ても原因が分からないことがあります。何件か並べると形が出るのが、この作業の性質です。
| 並べて見る軸 | 見えること |
|---|---|
| 曜日・時間帯 | 混雑する時間に集中していないか |
| 担当者 | 手順の共有が足りていないか |
| 金額の符号 | 多い側か少ない側に偏っていないか |
| 金種 | 特定の金種でだけ起きていないか |
ここで気をつけたいのは、担当者の軸を人の評価に使わないことです。特定の人に集中している場合、その人の注意が足りないのではなく、教わっていない手順があることのほうが多くあります。
偏りが見つかったら、その人を注意するのではなく、手順を確かめ直す形にすると再発が減ります。個人を責める運用にすると、次から違算そのものが報告されなくなり、記録が使えなくなります。
レジの違算を減らす、会計時の3つの型
レジの違算は、締めの工夫より会計のときの型で減ります。原因が営業中にあるためです。
支払い方法を復唱する
「お支払いは現金でよろしいでしょうか」を型にします。押し間違いは、締めのずれの中でも金額が大きくなりやすいので、ここが効きます。
受け取った金額を声に出す
「1万円お預かりいたします」と言ってから引き出しを開けます。言った金額が記録になるので、あとで「1万円出したのに」という行き違いも防げます。
釣銭を数えて渡す
数えながら渡すと、渡し間違いが減ります。渡したあとに引き出しを閉める順番にしておくと、受け取った紙幣を引き出しに入れる前に確認できます。
この3つは、どれも会計の時間をほとんど増やしません。復唱の絞り方は接客のコツにも書きました。
レジの違算が出たときに、その場でやること
レジの違算が出た瞬間にやることを決めておくと、探し始める前に条件がそろいます。焦って数え直すより、先に状態を固定するほうが結果的に早く終わります。
- 引き出しの現金をそれ以上動かさない
- 金種ごとの枚数を書き留める
- 売上データの数字を書き留める
- 差額と、多いか少ないかを書く
- そのうえで探し始める
2が抜けると、探している途中で分からなくなります。数え直すたびに枚数が変わり、最初がどうだったか思い出せなくなる形はよく起きます。
4の「多いか少ないか」は、原因の候補を半分に絞ります。少ないなら渡しすぎか処理漏れ、多いなら受け取りすぎか押し間違い。符号を先に確定させてから探すと、見る場所が減ります。
1人で締めている場合は、誰かに声をかけてから探し始めるほうが安全です。現金を扱う作業なので、あとで説明が必要になったときに、報告した時刻が残っていると立場が守られます。
レジの違算は、セルフレジや電子決済でも形を変えて出る
レジの違算は、現金を手で扱う店だけの話ではありません。仕組みが変わると、出方が変わります。
| 仕組み | 違算の出方 |
|---|---|
| 自動釣銭機 | 補充と回収の記録漏れ |
| セルフレジ | 投入エラー、取り忘れの回収 |
| 電子決済 | 決済の取消漏れ、二重決済 |
| 商品券・クーポン | 現金として数えるかの扱い |
自動釣銭機では、数え間違いはほぼ起きません。代わりに、補充した金額を記録していないと、機械の中の金額と帳簿が合わなくなります。機械が正確でも、人が入れた記録が無ければ追えません。
セルフレジでは、お客様が釣銭を取り忘れて残ることがあります。回収した分を記録に残さないと、その日の現金が多くなります。取り忘れは、あとから問い合わせが来ることもあるので、金額と時刻を残しておくと対応できます。
電子決済の取消は、現金のずれとして出ないぶん気づきにくくなります。売上側だけがずれるため、現金を数えても見つかりません。決済の種類ごとに件数を突き合わせる必要があります。
商品券やクーポンの扱いは、店によって決まりが違います。現金として数えるのか、別に集計するのか。決まりを確かめておかないと、毎回同じ額でずれます。同じ金額のずれが繰り返し出ている場合は、ここを疑う価値があります。
レジの違算を、人の問題にしない運用にする
レジの違算で難しいのは、扱い方を間違えると報告されなくなることです。報告が減れば記録も減り、原因を見つける材料がなくなります。
起きやすいのは次の形です。
| 運用 | 起きること |
|---|---|
| 違算を出した人を責める | 少額を隠すようになる |
| 弁償させる | 報告が止まる |
| 名前だけを集計して見せる | 締めを他の人に代わってもらうようになる |
| 原因を手順として直す | 報告が続き、件数が減る |
上の3つは、短期的には件数が減ったように見えます。ただし減っているのは違算ではなく報告のほうなので、実態は悪くなっています。
効くのは、いちばん下の形です。特定の人に集中している場合も、教わっていない手順があると考えて確かめるほうが再発が減ります。支払い方法の復唱を知らなかった、両替の記録を習っていなかった。原因が手順側にあることは珍しくありません。
金銭の扱いなので、確認そのものは必要です。ただし、確認と、責めることは別です。記録を残し、傾向を見て、手順を直す。この順で回すと、報告が続きます。
働く側としては、少額でも報告しておくほうが結果的に守りになります。記録が残っていれば、あとで傾向として説明できます。
レジの違算を防ぐ、引き出しの使い方
レジの違算は、引き出しの使い方でも変わります。金種の置き場所が固定されていないと、取り違えが起きます。
決めておきたいのは次の3点です。
| 決めること | 効き目 |
|---|---|
| 金種ごとの位置 | 取り違えが減る |
| 紙幣の向き | 数えるのが速くなる |
| 一時的に置く場所 | 受け取った紙幣を混ぜない |
3つ目がいちばん効きます。お客様から受け取った紙幣を、釣銭を渡す前に引き出しへ入れてしまうと、「1万円出した」「5千円だった」という行き違いが起きたときに確かめられません。
一般的なやり方は、受け取った紙幣を引き出しの上や手前に置いたまま釣銭を渡し、渡し終えてから中へ入れる形です。こうすると、その場で見せて確かめられます。
500円玉と100円玉、50円玉と5円玉は、大きさが近く取り違えやすい組です。位置を離しておくと減ります。
引き出しの奥に紙幣が落ちる事故も、置き場所が決まっていないと起きます。仕切りの高さを超えて積まないようにしておくと、落ちにくくなります。
レジの違算は、記録の形を決めておくと追える
レジの違算は、記録の形が決まっていないと並べられません。探すときも、あとで傾向を見るときも、同じ形で残っていることが効きます。
残す項目は次のとおりです。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 日付・時刻 | 締めた時刻まで |
| 担当者 | 名前 |
| 差額 | 金額と、多いか少ないか |
| 金種ごとの内訳 | 小計を数字で |
| 探した範囲 | どこまで見たか |
| 心当たり | 気づいたことがあれば |
「探した範囲」を書いておくと、翌日以降に続きから見られます。書いていないと、同じ場所をもう一度探すことになります。
「心当たり」の欄も役に立ちます。その日に高額紙幣が多かった、両替をした、新人が入っていた。あとで並べたときに、共通点として浮かぶことがあります。
よくある質問
レジの違算が出たら弁償するのですか
店によって扱いが違いますが、一律に従業員へ負担させる運用は問題になり得ます。就業規則や店の決まりを確認するのが先になります。不安がある場合は、その場で判断せず店長に確認します。
少額のずれでも報告したほうがいいですか
報告するほうが結果として楽になります。記録がたまって初めて原因が見えるためです。少額を隠すと、あとで大きなずれが出たときに説明できなくなります。
違算が続いて自分が疑われないか心配です
記録を残すことが、いちばんの備えになります。いつ、いくら、どちら側にずれたかが残っていれば、傾向として説明できます。1人で締めない決まりにできるかを相談する方法もあります。
レジが多いと原因を探せません
レジごとに記録を分けると絞れます。どの台でずれているかが分かれば、そこに入った人と時間帯に候補が絞られます。台ごとに釣銭準備金を固定しておくと、さらに探しやすくなります。
セルフレジでも違算は出ますか
出ます。投入と返却が機械で行われるぶん、原因は釣銭の補充や回収の記録漏れに寄ります。補充した金額を記録に残していないと、原因不明のずれになります。
受け取った紙幣はすぐ引き出しに入れていいですか
釣銭を渡し終えてから入れるほうが安全です。渡す前に入れると、金額の行き違いがあったときに確かめられなくなります。
違算が続いたら報告したほうがいいですか
続いている場合こそ報告します。1件では分からない原因が、並べると見えます。手順側に原因があることも多くあります。
違算がゼロの日が続くのは正常ですか
正常です。ゼロが続いているなら手順が回っています。ただし記録は続けます。止めると、出たときに比べる材料がなくなります。
探しても見つからないときはどうしますか
打ち切って記録に残します。その日に原因が分からなくても、同じ形のずれが出れば並べて見られます。探し続けるより、記録を残すほうが後で効きます。
違算が出たことを自分から言いにくいです
記録に残すことが、結果として自分を守ります。いつ、いくら、どちら側にずれたかが残っていれば、傾向として説明できます。黙って埋めるほうが、あとで説明できなくなります。
まとめ
レジの違算は、ずれた金額の形を見ると原因が絞れます。多いのか少ないのか、金額がいくらか。この2つで見る場所が変わります。
探す順番は、釣銭準備金の確認、取消と返品の履歴、支払い方法の記録、両替の有無、レジの周り、最後に数え直しです。数え間違いが原因である割合は低いので、数え直しを最初にやらないほうが早く終わります。
打ち切りの目安は店の方針として決めるものです。打ち切った場合も記録は残します。記録をためると、曜日や時間帯、金種の偏りとして原因が見えてきます。担当者の軸は、人の評価ではなく手順の確認に使います。