接客7大用語とは?8大用語との違いと使う場面
目次
接客7大用語は、研修の最初に渡されることが多い7つの決まり文句です。覚えること自体はすぐ終わるのですが、どの場面でどれを使うかまでは教わらないことがあります。そのため、全部を「いらっしゃいませ」と「ありがとうございます」で済ませてしまい、残りの5つが使われないまま眠っている店もあります。
この記事では、接客7大用語の一覧と、それぞれが効く場面を分けて整理します。あわせて、8大用語や10大用語と呼ばれる並びとの違いも触れます。
結論:接客7大用語とは、店の中で言い方を迷わないための共通の型
接客7大用語とは、店で繰り返し起きる7つの場面に、あらかじめ決まった言い方を当てておくものです。その場で言葉を選ばなくて済むようにするのが目的で、丁寧さを競うためのものではありません。
ポイントはここです。7大用語が効くのは、余裕がないときです。混雑して頭が回らない場面でも、決まった言い方が口から出れば形が崩れません。逆に言えば、落ち着いているときに丁寧な言い回しができていても、忙しいときに崩れるなら型として身についていないことになります。
一般には、次の7つが接客7大用語として使われています。店によって順番や数が少し違いますが、中身はおおむね共通しています。
接客7大用語の一覧と、それぞれを使う場面
接客7大用語は、来店から見送りまでの流れに沿って並べると覚えやすくなります。
| 用語 | 使う場面 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| いらっしゃいませ | 入店に気づいたとき | 返事を期待しない |
| かしこまりました | 依頼を受けたとき | 「了解です」にしない |
| 少々お待ちくださいませ | 席を外すとき | 目安の時間を添える |
| お待たせいたしました | 戻ったとき | 短時間でも言う |
| 恐れ入ります | 頼む前、礼の前 | 謝罪と混ぜない |
| 申し訳ございません | 非があるとき | 「すみません」にしない |
| ありがとうございます | 受け取り、見送り | 会計以外でも使う |
接客7大用語1:いらっしゃいませ
接客7大用語の入口が「いらっしゃいませ」です。返事をもらうための言葉ではなく、気づいていることを知らせる合図として使います。目を合わせる必要もありません。
うまくいっていない店では、全員が同時に言ったり、誰も言わなかったりします。一般には、最初に気づいた1人が言うという決め方にすると自然になります。全員で復唱する形を採っている店もありますが、その場合も先頭を決めておかないと、ばらばらに重なって聞き取りにくくなります。
言うタイミングは、入口を通った直後よりも、お客様が店内に目を向けた瞬間のほうが届きます。入った直後は荷物や傘に気を取られていることが多く、声が耳に入りません。作業中で顔を上げられないときは、手を止めずに声だけ出す形でも成立します。
接客7大用語2:かしこまりました
「かしこまりました」は、依頼や注文を受け取ったことを伝える言葉です。「了解しました」は同僚に使う言い方なので、お客様には向きません。
迷ったときは、受けた内容を短く戻してから言うと丁寧になります。「Mサイズを1点、かしこまりました」のような形です。復唱と承諾を1つにまとめられるので、会話が短くなるという利点もあります。
似た言葉に「承知しました」があります。どちらもお客様に使えますが、「かしこまりました」のほうが改まった響きになります。飲食や物販では「かしこまりました」、電話やメールでは「承知しました」という使い分けをしている店が多くあります。どちらかに統一しなければならないというものではありません。
接客7大用語3:少々お待ちくださいませ
接客7大用語の中で、いちばん効き目が変わるのがこれです。「少々」だけでは、お客様はどれくらい待つのか分かりません。
目安の時間か、何をしに行くかを添えると、同じ待ち時間でも体感が変わります。「在庫を見てまいりますので、3分ほどお待ちください」のような形にします。
時間を言うと外したときに困る、と感じる場合は、動作のほうを言えば足ります。「奥で確認してまいります」「担当の者を呼んでまいります」。何をしに行くかが分かれば、待つ側は見通しを持てます。避けたいのは、何も言わずにその場を離れる形です。戻るまでの時間が同じでも、放置されたと受け取られます。
3分を超えそうなときは、一度戻って途中経過を伝えるほうが安全です。待ち時間そのものより、状況が分からない時間のほうが苦情になりやすい傾向があります。
接客7大用語4:お待たせいたしました
戻ったときの言葉です。ごく短い時間でも言うほうが自然になります。言わずに用件から入ると、待っていた時間がなかったことになるためです。
長く待たせた場合は「お待たせして申し訳ございません」に切り替えます。切り替える目安は店で決めておくと迷いません。一般には5分前後を境にしている店が多いようですが、混雑の程度によって感じ方が変わるので、行列の長さで決めるほうが実態に合うこともあります。
謝罪に切り替えるかどうかは、実は待ち時間だけでは決まりません。お客様が時計を見た、周りを見回した、といった様子が出ているときは、短くても詫びる側に寄せたほうが収まります。
接客7大用語5:恐れ入ります
「恐れ入ります」は、お客様に何かを頼むときと、礼を述べるときの前置きに使います。謝るための言葉ではありません。
「恐れ入りますが、こちらにご記入をお願いいたします」「お褒めいただき恐れ入ります」のように、頼む前と受け取るときの両方で使えます。クッション言葉としての使い方はクッション言葉とはにまとめています。
この言葉が効くのは、こちらの都合でお客様に動いてもらうときです。列に並び直してもらう、身分証を出してもらう、位置をずらしてもらう。いきなり用件から入ると命令に聞こえる場面で、前に1つ置くだけで印象が変わります。
接客7大用語6:申し訳ございません
非があるときに使う言葉です。「すみません」は謝罪と呼びかけの両方に使われるため、謝罪の場面では弱くなります。
ここで気をつけたいのは、何に対して謝るかを添えることです。「お待たせして申し訳ございません」のように対象を言うと、事実と切り離して謝る形になります。謝り方の組み立ては接客での謝罪の言葉で詳しく扱います。
対象を言わずに繰り返すと、かえって話が長くなることがあります。何について謝っているのかが分からないと、お客様は伝わっていないと感じるためです。原因がまだ分からない段階では、事実の部分だけ先に詫びる形にできます。
接客7大用語7:ありがとうございます
会計時だけの言葉になりがちですが、受け取ったとき全般に使えます。商品を返してもらったとき、意見をもらったとき、待ってもらったとき。使う回数が自然に増えると、店全体の印象が変わります。
見送りでは「ありがとうございました」と過去形にする店が多くありますが、まだ店内にいる段階では現在形のほうが自然です。会計が終わって袋を渡した時点ではまだ滞在中なので、そこで過去形にすると追い出す響きが出ることがあります。扉を出る直前に過去形へ切り替える、という分け方ができます。
接客7大用語と8大用語、10大用語の違い
接客7大用語には、数の違う言い方がいくつかあります。中身は重なっていて、どれが正しいというものではありません。
| 呼び方 | 足されるもの | よく使う業種 |
|---|---|---|
| 7大用語 | 基本の7つ | 小売、飲食 |
| 8大用語 | 失礼いたします | 飲食、ホテル |
| 10大用語 | 恐れ入りますが/またお越しくださいませ など | ホテル、百貨店 |
8大用語では「失礼いたします」が加わります。席に近づくとき、間に入るとき、電話を切るときに使う言葉で、相手の場に入る合図の役割を持ちます。飲食やサロンのように、お客様の近くまで入る業種で必要になります。
10大用語は、見送りや依頼の言い回しをさらに分けたものです。接客の時間が長い業種ほど数が増える、という関係になっています。自分の店がどれを採っているかは、研修資料か店のマニュアルで確かめるのが早い方法です。
接客7大用語でつまずきやすい3つ
接客7大用語を覚えたあとに起きやすいつまずきが3つあります。
1つ目は、語尾に余計なものが付くことです。「かしこまりましたー」「ありがとうございましたー」のように伸ばすと、形だけ言っている印象になります。語尾を切る意識だけで直ります。
2つ目は、7つ以外を使わなくなることです。7大用語は土台であって、会話の全部ではありません。商品の説明や案内は、7つの外側にあります。土台に寄りかかりすぎると、聞かれたことに答えない接客になります。
3つ目は、謝罪と前置きが混ざることです。「恐れ入ります」と「申し訳ございません」は役割が違いますが、どちらも低姿勢に聞こえるため入れ替わりがちです。非がないのに謝ると、あとで話がこじれる材料になることがあります。
見分け方は単純で、こちらに落ち度があるかどうかです。お客様に動いてもらうだけなら「恐れ入ります」、こちらの手違いなら「申し訳ございません」。在庫がない、取り扱いがない、といった場面はどちらとも言えますが、店の都合で用意できていないなら詫びる側に寄せるのが一般的な整理です。
接客7大用語を、自分の店の言い方に直す
接客7大用語をそのまま使うと硬く感じる業種もあります。カジュアルな飲食店や若い層向けの物販では、丁寧さを落とさずに角を取る言い換えができます。
| 基本 | 少しやわらげた形 | 使う場面 |
|---|---|---|
| かしこまりました | 承知しました | 常連との会話 |
| 少々お待ちくださいませ | 少々お待ちください | 立ち話の途中 |
| 申し訳ございません | 申し訳ありません | 軽微な行き違い |
やわらげてよい線は、敬語の種類を落とさない範囲までです。「了解です」「大丈夫です」のように敬語そのものが外れると、印象が変わります。言い換えの可否はバイト敬語とはに一覧で整理しました。
店として言い方を変えるときは、1人で判断せず店長に確認するほうが安全です。接客用語は個人の好みより、店の中でそろっていることのほうが効きます。
接客7大用語を、自分の店で確かめる
接客7大用語のうち、自分の店で実際に使われているのはどれかを一度見ておくと、足りない部分が分かります。
確かめ方は単純で、1回のシフトで自分が言った用語に印をつけるだけです。7つのうち3つしか出ていない、という結果はよくあります。
出ていない用語には理由があります。「恐れ入ります」が出ないなら、お客様に何かを頼む場面が少ないのかもしれません。使う場面が無いなら、無理に増やす必要はありません。
一方で、「お待たせいたしました」が出ていない場合は、余裕がないときに最初に落ちる言葉なので、意識して戻す価値があります。
よくある質問
接客7大用語は全部覚えないといけませんか
7つとも場面が違うので、まとめて暗記するより場面ごとに1つずつ足すほうが定着します。まず「いらっしゃいませ」「かしこまりました」「ありがとうございます」の3つが回れば、残りは自然に必要になります。
「了解しました」はなぜ避けるのですか
目上の相手に使わない言い方だと受け取る人が一定数いるためです。意味としては間違っていませんが、気にする人がいるので、店では「かしこまりました」に寄せるのが無難な形になります。
接客7大用語を言っているのに固いと言われます
用語ではなく、間の取り方が原因のことがあります。7つを連続で並べると事務的に聞こえるので、間に商品の話をひと言挟むと会話になります。用語は骨で、肉は商品の情報のほうです。
外国語での接客でも7大用語は使えますか
考え方は同じですが、直訳すると不自然になる表現があります。「いらっしゃいませ」に当たる決まり文句がない言語もあるため、用語の訳ではなく役割で置き換えるほうが伝わります。迎える、受ける、待たせる、詫びる、礼を言う、の5つに分けて考えると対応しやすくなります。
「ありがとうございました」と「ありがとうございます」はどちらですか
まだ店内にいる間は現在形、出るときは過去形、という分け方が自然です。会計直後に過去形にすると、早く帰ってほしい響きが出ることがあります。迷うときは現在形にしておくほうが外しません。
覚えたか確認する方法はありますか
忙しい時間帯に録音や振り返りをするのがいちばん分かりやすい方法ですが、難しい場合は「お待たせいたしました」が出ているかだけ見る方法があります。これは余裕がないと最初に落ちる言葉なので、残っていれば型として入っていると判断できます。
7大用語を言う声の大きさはどのくらいですか
売り場の広さによりますが、語尾まで届いているかのほうが重要になります。音量を上げても、文の後半が下がると聞こえません。ひと言を短くすると届きやすくなります。
同じ用語が続いてしまいます
会計から見送りまでは場面が近いので、自然と重なります。間に商品や案内の情報を1つ挟むと、繰り返しの印象が薄れます。
まとめ
接客7大用語は、繰り返し起きる場面に決まった言い方を当てて、迷う時間をなくすための型です。丁寧さを競うものではなく、忙しいときに崩れないことのほうが大事な役割になります。
7つのうち効き目が変わりやすいのは「少々お待ちくださいませ」で、目安の時間を添えるだけで体感が変わります。「恐れ入ります」と「申し訳ございません」は役割が違うので、混ぜないところが分かれ目です。
8大用語や10大用語は、お客様の近くに入る時間が長い業種ほど数が増えます。自分の店がどれを採っているかを一度確かめておくと、言い方がそろいます。