売上日報の書き方|数字より「その日のこと」
目次
売上日報は、数字を書き写すだけの作業になりがちな書類です。数字はレジから出るので、日報に転記しても新しい情報は増えません。
この記事では、売上日報に何を書けば使えるものになるかを整理します。数字を正しく書く話より、その日に何があったかを残す話です。
結論:売上日報は「その日のこと」を書くと使える
売上日報でいちばん価値があるのは、数字ではなく、その日に何があったかです。
売上の金額はレジから出ます。日報に書き写しても、同じ情報が2か所にあるだけです。
ポイントはここです。数字が動いた理由は、レジには残りません。天気、イベント、欠品、人の配置。これらは、その日に書かないと消えます。
一般には、数字の欄が大きくて、記述の欄が小さい様式が使われています。ただ、あとから見返して使えるのは記述のほうです。
書く6つ
売上日報に書くのは、6つで足ります。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 日付と天気 | 天気は売上に効く |
| 売上 | 金額と客数 |
| 出来事 | イベント、工事、近隣の状況 |
| 気づき | よく出た商品、欠品、問い合わせ |
| 人の配置 | 誰が何時にいたか |
| 翌日への申し送り | 引き継ぐこと |
1つ目の天気を必ず入れてください。あとから数字を見返したときに、下がった理由が分かります。天気が無いと、原因を探すところから始まります。
5つ目は、人が足りていたかを見る材料になります。同じ売上でも、人数が違えば回り方が違います。
数字は転記しない
数字は、レジから出る形をそのまま貼るか、添えるのがいちばん確実です。
手で書き写すと、書き間違いが起きます。書き間違えた数字が、そのまま月の集計に乗ります。
一般には、レジの精算のレシートを日報に貼る形が取られています。貼るだけなら1秒で済み、間違いようがありません。
電子で残す場合も同じです。打ち直さずに、出てきたものをそのまま使います。
「気づき」の欄が本体
売上日報でいちばん使われるのは、気づきの欄です。
書くのは、数字では見えないことです。よく出た商品、切れた商品、お客さまから言われたこと、うまくいかなかったこと。
一般には、1日3行が目安とされています。それ以上を求めると、書くこと自体が負担になって続きません。
書き方の型を1つ渡すと、書かれやすくなります。「今日いちばん◯◯だったこと」という形です。空欄の紙より、問いのほうが書けます。
欠品を必ず書く
気づきの欄で、いちばん効くのが欠品です。
欠品は、売上に出ません。買えなかった人は、買った人として数えられないためです。数字だけを見ていると、欠品が起きていたことが分かりません。
書くのは3つです。何が、いつから、どれくらい。「◯◯が14時に切れた」と書けば、発注の量を見直す材料になります。
一般には、欠品の欄を独立させる形が取られています。気づきの欄に混ぜると、書かれない日が出ます。
売上が下がった日に書くこと
売上が下がった日は、理由を書きます。
理由は、分からない場合もあります。そのときは「分からない」と書いてください。空欄にすると、書き忘れたのか分からなかったのかが区別できません。
一般に、下がる理由は次の4つに分かれます。
| 理由 | 例 |
|---|---|
| 外の要因 | 天気、イベント、工事 |
| 商品 | 欠品、品揃え |
| 店の側 | 人が足りない、機器の不具合 |
| 分からない | 心当たりがない |
4つ目が続くなら、見ている項目が足りていません。日報の項目を1つ足すきっかけになります。
書く時間を決める
売上日報は、書く時間を決めないと書かれません。
一般には、レジ締めのあと、5分以内に書く形が取られています。時間が経つと、その日のことを思い出せなくなります。
書く場所も決めます。レジのそばか、事務所か。取りに行く形にすると、忙しい日ほど飛びます。
書く人も決めます。その日の責任者が一般的です。誰が書いてもよい形にすると、書かれない日が出ます。
読む人を決める
日報は、読まれないと書かれなくなります。
読む人を決めて、読んだ印を付ける形にします。印があるだけで、書いた側は読まれていることが分かります。
一般には、気づきの欄にひとこと返す形が取られています。「欠品の件、発注量を直しました」と1行返るだけで、次も書かれます。
返さないと、1か月で書かれなくなります。書いても何も起きないと分かるためです。
月に1回まとめて見る
日報は、溜めて月に1回見ます。
見るのは3つです。天気と売上の関係、欠品が続いている商品、繰り返し出ている気づき。
1日ごとに対策を立てると、その場しのぎが積み重なります。1か月分を並べると、同じものが3件以上あるかどうかが見えます。
見た結果は、日報に書き足します。「この商品の発注量を◯◯に変えた」と残すと、翌月に効果が見えます。
様式を1枚にする
売上日報の様式は、A4で1枚にまとめます。
項目は6つと、読んだ印の欄。これ以上増やすと書かれません。
増やしたくなったら、代わりに1つ減らします。様式を作る側が書く側になっていないと、項目は増え続けます。
電子で残す場合も同じです。入力に5分以上かかる形にすると、続きません。
保存の期間
売上日報の保存については、帳簿としての扱いかどうかで変わります。
売上の金額が記載されたものは、帳簿書類として保存の期間が定められている場合があります。税務上の扱いは、記載内容や様式によって変わるとされています。
判断に迷う場合は、社内の担当か、顧問の税理士、所轄の税務署に確かめてください。店の判断で処分しないでください。
客数と客単価を見る
売上日報では、売上の金額だけを見ないでください。
同じ売上でも、客数が多くて単価が低い日と、客数が少なくて単価が高い日では、次にやることが違います。
| 動き | 見えること |
|---|---|
| 客数が減った | 来店の理由が減っている |
| 単価が下がった | 買う点数か、選ぶ商品が変わった |
| 両方下がった | 外の要因が大きい |
| 両方上がった | 記録して理由を残す |
4つ目を必ず書いてください。うまくいった日の理由は、書かないと消えます。悪かった日だけを書く形にしていると、再現できません。
時間帯ごとに見る日を作る
毎日は要りませんが、時間帯ごとの売上を見る日を作ると、配置の材料になります。
一般には、月に1回、曜日を変えて取る形が取られています。同じ曜日ばかり見ると、その曜日の形しか分かりません。
見るのは3つです。いちばん売れる時間帯、人が足りていない時間帯、空いている時間帯。
3つ目に、売り場づくりや発注の作業を寄せます。忙しい時間に作業を入れると、どちらも中途半端になります。
日報を引き継ぎに使う
売上日報の申し送りの欄は、引き継ぎのノートと分けないでください。
分かれていると、両方を見ないと分からない状態になります。翌朝の担当は、どちらか一方しか見ません。
一般には、日報の中に申し送りの欄を作る形が取られています。書く場所が1つなら、書く側も読む側も迷いません。
書くのは3つです。やり残したこと、翌日に必要なこと、伝えること。3つとも無ければ「なし」と書きます。空欄にしないでください。
日報から発注につなげる
売上日報でいちばん実務につながるのは、発注です。
見るのは2つです。欠品が続いている商品と、残っている商品。
一般には、欠品のほうばかりを見ます。ただ、残っている商品を減らす判断をしないと、棚も資金も詰まります。
日報に「残った」を書く欄があると、月に1回まとめて見られます。書く欄が無いと、誰も書きません。
数字が読めるようになるまで
売上日報は、続けないと読めるようになりません。
1か月分では、天気や曜日の差が見えません。3か月ほど溜まって、はじめて形が出ます。
途中でやめたくなるのは、書いても何も変わらない期間があるためです。ここを越えるかどうかで、日報が使えるものになるかが決まります。
一般には、最初の3か月は読む人が反応を返す形が取られています。内容に返事があると、書く側が続けられます。
日報を1枚で回す形
売上日報は、ほかの記録と兼ねると書かれやすくなります。
兼ねられるのは、申し送り、欠品、待たせた記録、違算の記録です。どれも1日1枚の中に欄を作れます。
分けると、書く紙が4枚になります。4枚あると、忙しい日に全部飛びます。
一般には、A4で1枚に収まる範囲で兼ねる形が取られています。収まらないなら、項目を減らすほうを選びます。
まとめ
売上日報は、その日のことを書くと使えるものになります。
- 数字は転記せず、レジから出たものをそのまま貼る
- 書くのは日付と天気、売上、出来事、気づき、人の配置、申し送りの6つ
- 天気を必ず入れる。あとから下がった理由が分かる
- 欠品の欄を独立させる。欠品は売上に出ない
- 読む人を決めて、気づきにひとこと返す。返さないと1か月で書かれなくなる
売上の金額が記載された書類は、保存の期間が定められている場合があります。扱いに迷う場合は、社内の担当か、顧問の税理士、所轄の税務署に確かめてください。
よくある質問
Q. 売上日報に何を書きますか。 A. 日付と天気、売上、出来事、気づき、人の配置、申し送りの6つです。数字より、その日に何があったかが本体です。
Q. 天気は必要ですか。 A. 必ず入れてください。あとから数字を見返したときに、下がった理由が分かります。天気が無いと原因を探すところから始まります。
Q. 数字を書き写すべきですか。 A. 転記しないでください。レジから出たものをそのまま貼るか添えます。書き間違えた数字が、そのまま月の集計に乗ります。
Q. 気づきに何を書きますか。 A. 数字では見えないことです。よく出た商品、切れた商品、言われたこと。1日3行が目安です。
Q. 書くことが思いつきません。 A. 「今日いちばん◯◯だったこと」という問いの形にしてください。空欄の紙より、問いのほうが書けます。
Q. 欠品はどこに書きますか。 A. 欄を独立させてください。気づきの欄に混ぜると、書かれない日が出ます。何が、いつから、どれくらいの3つを書きます。
Q. なぜ欠品が大事なのですか。 A. 欠品は売上に出ません。買えなかった人は、買った人として数えられません。数字だけを見ていると気づけません。
Q. 売上が下がった理由が分かりません。 A. 「分からない」と書いてください。空欄にすると、書き忘れたのか分からなかったのかが区別できません。
Q. 「分からない」が続きます。 A. 見ている項目が足りていません。日報の項目を1つ足すきっかけになります。
Q. いつ書きますか。 A. レジ締めのあと、5分以内です。時間が経つと、その日のことを思い出せなくなります。
Q. 誰が書きますか。 A. その日の責任者が一般的です。誰が書いてもよい形にすると、書かれない日が出ます。
Q. 書いても読まれていない気がします。 A. 読む人を決めて、印を付けてください。気づきにひとこと返すと、次も書かれます。返さないと1か月で書かれなくなります。
Q. いつ見返しますか。 A. 月に1回です。1日ごとに対策を立てると、その場しのぎが積み重なります。同じものが3件以上あるかを見ます。
Q. 項目を増やしたくなります。 A. 6つまでにしてください。増やしたくなったら、代わりに1つ減らします。作る側が書く側になっていないと増え続けます。
Q. どれくらい保存しますか。 A. 帳簿書類として期間が定められている場合があります。顧問の税理士か所轄の税務署に確かめてください。店の判断で処分しないでください。
Q. 売上の金額だけを見ればよいですか。 A. 客数と客単価も見てください。同じ売上でも、次にやることが違います。
Q. うまくいった日も書きますか。 A. 必ず書いてください。悪かった日だけを書く形にしていると、再現できません。
Q. 時間帯ごとの売上は毎日見ますか。 A. 月に1回、曜日を変えて取ってください。同じ曜日ばかり見ると、その曜日の形しか分かりません。
Q. 申し送りは別のノートでよいですか。 A. 日報の中に欄を作ってください。分かれていると、翌朝の担当はどちらか一方しか見ません。
Q. 申し送ることが無い日は。 A. 「なし」と書いてください。空欄にしないでください。書き忘れと区別できません。
Q. 日報を発注につなげられますか。 A. 欠品と、残っている商品の2つを見てください。残りを減らす判断をしないと、棚も資金も詰まります。
Q. 日報を書いても何も変わりません。 A. 3か月ほど溜まって、はじめて形が出ます。最初の3か月は読む人が反応を返してください。返事があると書く側が続けられます。
Q. 1か月では分かりませんか。 A. 天気や曜日の差が見えません。続けないと読めるようになりません。
Q. ほかの記録と兼ねてよいですか。 A. 申し送り、欠品、待たせた記録、違算は兼ねられます。分けると書く紙が4枚になり、忙しい日に全部飛びます。
Q. 日報を電子にしてもよいですか。 A. かまいませんが、入力に5分以上かかる形にすると続きません。打ち直さずに、出てきたものをそのまま使ってください。
Q. 何か月分を残しますか。 A. 帳簿としての扱いを受けることがあります。店の判断で処分しないでください。顧問の税理士か所轄の税務署に確かめます。