レジ・会計実務2026.09.17 公開RE-07

領収書の書き方|宛名・但し書き・印紙

目次

領収書は、頼まれる回数は多くないのに、その場で聞かれることが多い書類です。宛名をどう書くか、但し書きは何にするか、印紙は要るのか。判断が要る項目が並ぶので、慣れていないと止まります。

この記事では、店頭で領収書を求められたときの書き方と、判断に迷う場面の考え方を整理します。税務の扱いに関わる部分があるので、細かい判断は自店の決まりと税理士・所轄の税務署の案内が優先します。

会計の言い回しから知りたい方は「レジ接客の言葉」へ。流れに沿って並べています。→ レジ接客の言葉

結論:領収書で聞くのは「宛名」と「但し書き」の2つ

領収書を頼まれたとき、担当者が確かめるのは基本的に2つです。宛名と但し書き。この2つを聞けば、残りは決まった形で書けます。

ポイントはここです。お客様に「どのように書きますか」と開いて聞くと、かえって迷わせます。「宛名はいかがいたしましょうか」「但し書きはお品代でよろしいでしょうか」と、項目ごとに聞くほうが早く終わります。

領収書に必要な項目は、おおむね決まっています。

項目内容
日付支払いを受けた日
宛名支払った側の名称
金額税込の総額
但し書き何の代金か
発行者店名・住所・連絡先

日付は、支払いを受けた日です。後日に発行する場合も、日付をさかのぼって書くことはしません。

領収書の5つの項目領収書日付支払いを受けた日宛名支払った側の名称金額税込の総額但し書き何の代金か発行者店名・住所日付はさかのぼらな金額は頭に記号、末尾に区切りを付ける5万円以上は収入印紙の対象
領収書の5つの項目

領収書の書き方1:宛名

宛名は、支払った側の名称を書きます。個人なら氏名、法人なら会社名です。

確かめるときは、「宛名はいかがいたしましょうか」と聞きます。会社名を言われた場合、略さずに書くのが基本です。「(株)」ではなく「株式会社」と書くよう求められることがあります。

迷いやすいのが「上様」です。上様や空欄での発行を認めるかは、店の方針によります。税務の扱いとして宛名が必要とされる場面があるため、会社によっては受け取れないことがあります。

こちらから「上様でよろしいですか」と提案しないほうが無難です。聞かれたら店の方針を答える形にします。

漢字が分からない場合は確かめます。「どのような字をお書きになりますか」と聞くと、聞き直しではなく確認の形になります。

領収書の書き方2:但し書き

但し書きは、何の代金かを書く欄です。

業種よく使われる但し書き
飲食飲食代として
物販お品代として
サロン施術代として
書店書籍代として

「お品代」は広く使われますが、これを認めない会社もあります。経費として処理する際に、何を買ったか分からないためです。

こちらから決めずに「但し書きはいかがいたしましょうか」と聞くのが確実です。実際に買われたものと違う内容を書くことはしません。「書籍代で」と言われても、実際は文具であれば、そのとおりには書けません。

これは断ってよい場面です。「恐れ入りますが、お買い上げの品目で記載させていただいております」と伝えます。

領収書の書き方3:金額

金額は税込の総額を書きます。数字の書き方には、改ざんを防ぐための慣習があります。

  • 頭に「¥」または「金」を付ける
  • 末尾に「-」または「也」を付ける
  • 3桁ごとにカンマを入れる

例:¥12,345- または 金12,345円也

内訳として消費税額を書く欄がある様式もあります。インボイスの登録をしている店では、登録番号と税率ごとの区分を記載する必要が出てきます。自店の様式がどうなっているかを確かめておきます。

レジから出力される形式の領収書では、これらは自動的に入ります。手書きするのは、レジの様式では足りない場合が中心になります。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

レジ精算表や売上日報の様式を探している方へ。業種別にそろえている商い屋に、そのまま使えるExcelの様式があります。

この様式をひらく

領収書の書き方4:収入印紙

領収書には、金額によって収入印紙が必要になる場合があります。受取金額が5万円以上のときに印紙税の対象となるのが一般的な扱いです。

受取金額扱い
5万円未満非課税
5万円以上印紙が必要(金額により額面が変わる)

クレジットカード払いの場合は、金額にかかわらず印紙が不要とされています。信用取引であり、現金の受け取りにあたらないためです。ただし、その場合は領収書に「クレジットカード利用」と明記する必要があるとされています。

印紙を貼ったら、消印(割印)をします。印紙と用紙にまたがるように押します。

印紙の扱いは税に関わるので、判断に迷う場合は責任者に確認します。貼り忘れると店の側の問題になります。細かい税率や区分は、所轄の税務署や税理士の案内が正確です。

領収書で断ってよい場面

領収書は求められたら発行するのが原則ですが、応じられない場面もあります。

場面考え方
実際と違う内容を求められた断る
金額を水増しして書くよう求められた断る。応じない
日付をさかのぼるよう求められた断る
レシートを紛失した後日の再発行店の方針による
二重発行断る。レシートと引き換えが一般的

金額や日付を事実と違う形で書くことは、応じません。求められても、担当者の判断で応じてよいものではありません。責任者に代わります。

レシートと引き換えにする運用が一般的なのは、二重発行を防ぐためです。レシートを回収するか、レシートに発行済みの印を付けます。

断るときの言い方も決めておくと言いよどみません。「恐れ入りますが、そのような記載はいたしかねます」で足ります。断り方の組み立ては接客の断り方にまとめました。

書き損じたとき

書き損じた領収書は、捨てずに残します。

  1. 書き損じた用紙に「無効」と記入する
  2. 控えと一緒に保管する
  3. 新しい用紙に書き直す

連番の用紙を使っている場合は特に重要です。番号が飛んでいると、発行済みの領収書が行方不明になっているように見えます。

印紙を貼ったあとで書き損じた場合は、印紙をはがさずにそのまま保管します。還付の手続きができる場合があるので、責任者に渡します。

書き損じたとき1無効と書く書き損じた用紙に2保管する控えと一緒に。捨てない3書き直す新しい用紙に
書き損じたときの3段階

店として決めておくこと

領収書は頻度が低いぶん、その場で判断できないことが多い業務です。

決めること内容
上様の可否認めるかどうか
但し書きの標準お品代か、品目か
再発行の可否後日の対応
印紙の扱いどこにあるか、誰が貼るか
インボイスの記載登録番号と区分
書き損じの保管どこに保管するか

印紙の置き場所と、誰が貼るかは決めておかないと、必要な場面で止まります。金庫にあることが多く、担当者が取り出せない店もあります。

インボイスの登録をしている店では、記載事項が増えているので、様式が対応しているかを確かめておきます。

領収書は、レシートとの関係を整理しておく

領収書とレシートは別のものとして扱われますが、実務では混ざりやすい部分です。

レシート領収書
発行自動で出る求められたら発行
宛名無い書く
但し書き品目が並ぶまとめて書く
経費処理使える場合が多い使える
印紙対象になる場合がある対象になる場合がある

レシートでも経費として使える場合が多いため、領収書が必ず要るわけではありません。求められたときに発行する、という扱いになります。

二重発行を防ぐため、レシートと引き換えにする運用が一般的です。レシートを回収するか、発行済みの印を付けます。回収した場合は、控えと一緒に保管します。

レジから領収書が出力される店では、手書きの用紙を使う場面が限られます。どちらを使うか、どんなときに手書きにするかを確かめておくと迷いません。

領収書は、求められる場面が決まっている

領収書を頼まれる場面には偏りがあります。どんなときに求められるかを知っておくと、準備できます。

場面多い業種
会社の経費で購入文具、書店、飲食
接待・会食飲食
備品の購入量販、ホームセンター
個人事業の仕入れ幅広い
高額商品家電、専門品

月末と期末に増える傾向があります。経費の締めに合わせて、まとめて求められることがあります。

その時期は、用紙と印紙を切らさないようにしておくと慌てません。印紙は金庫にあることが多く、担当者が取り出せない店もあります。誰に頼めばよいかを確かめておきます。

また、インボイスの登録番号を求められることが増えています。自店が登録しているか、番号がどこに記載されているかを知っておくと、その場で答えられます。

レシートと領収書レシート自動で出る宛名は無い品目が並ぶ経費に使える場合が多い領収書求められたら発行宛名を書くまとめて但し書き引き換えが一般的
レシートと領収書の違い

領収書は、書き間違いを防ぐ順番がある

領収書は手書きすることが多く、書き直しが発生しやすい書類です。書く順番を決めると減ります。

順番書くもの理由
1金額いちばん間違えられない
2但し書き聞いてから書く
3宛名漢字を確かめてから
4日付最後でよい
5発行者ゴム印があれば押す

金額を先に書くと、書き間違いに早く気づけます。あとから書くと、他を書き終えてからやり直すことになります。

宛名は、漢字を確かめてから書きます。書き始めてから聞き直すと、書き直しになります。「どのような字をお書きになりますか」を先に置きます。

印紙が必要な金額かどうかも、金額を書いた時点で判断できます。あとから気づくと、渡す前に貼り直すことになります。

領収書は、控えの管理まで含めて業務になる

領収書は、渡して終わりではありません。控えの管理まで含めて一連の業務になります。

やること内容
控えを残す複写式なら自動。単票なら記録
連番を確認する飛んでいないか
書き損じを保管する無効と書いて残す
保管場所を決める決まった場所に
保存期間に従う店の決まり・法令

連番が飛んでいないかは、定期的に見ます。飛んでいる場合、書き損じが捨てられたか、発行済みの記録が抜けています。

書き損じは捨てません。「無効」と書いて控えと一緒に保管します。印紙を貼ったあとの書き損じは、はがさずにそのまま残します。

保存期間は、帳簿書類として法令で定められている場合があります。店の決まりに従い、判断に迷う場合は責任者に確認します。担当者が捨ててよいものではありません。

書く順番を決めると書き直しが減る順番書くもの理由1金額間違いに早く気づけ2但し書き聞いてから書く3宛名漢字を確かめてから4日付と発行者最後でよい
書く順番を決めると書き直しが減る

領収書は、頻度が低いからこそ手順を置く

領収書は、頻度が低いのに判断が多いという、間違えやすい条件がそろった業務です。

月に数回しか書かないと、書き方を忘れます。宛名の扱い、但し書き、印紙の要否。そのつど思い出すことになり、時間がかかります。

だから、手順を用紙のそばに置くのが効きます。書く順番、印紙が必要な金額、断ってよい場面。読めば進められる形にしておきます。

判断が要る項目は、あらかじめ店の答えを書いておきます。上様は認めるか、再発行はするか、レシートと引き換えにするか。その場で悩まずに済みます。

インボイスの登録番号も、どこに記載するかを含めて書いておきます。番号を聞かれてから探すと、待たせることになります。

領収書は、渡す場面も接客になる

渡す場面でやること待たせる時間の目安を添える確かめる宛名と但し書きは直せない渡す折れない形で
渡す場面でやること

領収書は書類の話ですが、渡す場面は接客です。

待たせる時間が発生しやすい業務でもあります。手書きなら数分かかることもあるので、「少々お待ちください」と時間の目安を添えます。

列がある時間帯では、一度横にずれてもらう方法が使えます。書いている間に後ろの会計を進めると、双方の待ち時間が短くなります。

渡すときは、内容を一度確かめてもらいます。宛名と但し書きは、あとから直せません。その場で確かめれば書き直しで済みます。

封筒に入れて渡す店もあります。経費として持ち帰るものなので、折れたり汚れたりしない形にすると丁寧です。

よくある質問

「上様」で書いていいですか

店の方針によります。税務の扱いとして宛名が必要とされる場面があるため、受け取れない会社もあります。こちらから提案しないほうが無難です。

但し書きを指定されました

実際に買われたものと違う内容は書きません。「お買い上げの品目で記載しております」と伝えて断ります。

印紙はいくらから必要ですか

受取金額が5万円以上で対象になるのが一般的な扱いです。カード払いの場合は不要とされますが、その旨の記載が要ります。判断に迷う場合は責任者に確認します。

レシートを無くしたお客様への再発行は

店の方針によります。二重発行を防ぐ仕組みがあるかで扱いが変わるので、担当者の判断で出さないほうが安全です。

書き損じた用紙はどうしますか

捨てません。「無効」と書いて控えと一緒に保管します。連番の用紙では、番号が飛ぶと確認できなくなります。

レシートがあれば領収書は要りませんか

レシートでも経費として使える場合が多くあります。求められたときに発行する扱いになります。

月末に頼まれることが増えます

経費の締めに合わせて増える傾向があります。用紙と印紙を切らさないようにしておくと慌てません。

書き直しが多くなります

金額を先に書くと、間違いに早く気づけます。宛名は漢字を確かめてから書き始めます。

控えはいつまで保管しますか

帳簿書類として保存期間が定められている場合があります。担当者が捨ててよいものではないので、責任者に確認します。

手書きの様式がありません

レジから出力される形式で足りることが多くあります。手書きが必要な場面があるかを先に確かめておきます。

インボイスの番号を聞かれました

自店が登録しているか、番号がどこに記載されているかを確かめておきます。その場で探すと待たせることになります。

まとめ

領収書で担当者が確かめるのは、宛名と但し書きの2つです。項目ごとに聞くほうが、開いて聞くより早く終わります。

金額は税込の総額を書き、改ざんを防ぐ書き方をします。受取金額が5万円以上で収入印紙の対象になるのが一般的な扱いで、カード払いの場合は不要とされますが、その旨の記載が要ります。

事実と違う内容や日付を求められても応じません。担当者の判断で決めてよい部分ではないので、責任者に代わります。書き損じた用紙は捨てず、「無効」と書いて保管します。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

レジ精算表や売上日報の様式を探している方へ。業種別にそろえている商い屋に、そのまま使えるExcelの様式があります。

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