キャッシュレス決済の対応|エラー時の動き
目次
キャッシュレス決済は種類が増え続けていて、エラーが出たときに何が原因かを担当者が判断しにくい業務になっています。現金なら数えれば分かりますが、決済は通信、端末、カード、残高と原因が複数あります。
この記事では、決済でつまずいたときの切り分け方と、その場でやってはいけないことを整理します。判断できない部分は責任者に渡す、という線も含めて書きます。
結論:エラーが出たら「二度押ししない」
キャッシュレス決済でいちばん避けたいのは、エラーが出たあとに同じ操作を繰り返すことです。
理由は単純で、二重決済になる可能性があるためです。画面にエラーが出ていても、決済そのものは成立している場合があります。ここで再度実行すると、お客様から2回引き落とされます。
ポイントはここです。エラーが出たら、まず完了しているかを確かめます。確かめる方法は決済の種類で違いますが、端末の履歴か、お客様の端末の画面で分かることが多くあります。
二重決済は、現金の違算と違ってその日のうちに気づけません。あとから申し出があって発覚するので、対応がさらに重くなります。
キャッシュレスの種類と、起きやすいこと
決済の種類によって、つまずく場所が違います。
| 種類 | 起きやすいこと |
|---|---|
| クレジットカード | 限度額超過、暗証番号の誤り、磁気不良 |
| 電子マネー(交通系など) | 残高不足、かざす位置 |
| コード決済 | 通信、アプリの起動、コードの期限切れ |
| タッチ決済 | 端末の反応、かざす時間 |
| 商品券・ギフト | 対象外商品、釣銭の可否 |
残高不足と限度額超過は、こちらでは分かりません。お客様の側の事情なので、こちらから理由を推測して言わないほうが安全です。
「残高が足りないようです」と言うと、周りに聞こえることがあります。「こちらではお通しできませんでした」と、端末側の結果だけ伝える形にすると角が立ちません。
エラーが出たときの手順
- 同じ操作を繰り返さない
- 端末の画面と履歴を確認する
- 決済が完了しているか確かめる
- 完了していなければ、別の方法を案内する
- 判断がつかなければ責任者を呼ぶ
3が最重要です。完了しているのに再実行すると二重決済になり、完了していないのに完了として扱うと売上が合わなくなります。
確かめ方は機種によります。自店の端末で、どこを見れば履歴が分かるかを知っておくと、その場で迷いません。研修で教わっていない場合は、落ち着いているときに確かめておきます。
お客様への伝え方
決済が通らなかったとき、言い方で受け取られ方が大きく変わります。
| 避けたい | 言い換え |
|---|---|
| 残高が足りないみたいです | こちらではお通しできませんでした |
| カードが使えないです | 恐れ入ります、別の方法をお試しいただけますか |
| もう一回やってみます | 一度確認いたしますので、少々お待ちください |
原因を推測して言わないのが要点です。残高、限度額、利用停止。どれもお客様の事情で、こちらが特定できることではありません。
周りに聞こえる場面でもあります。声の大きさを落とすだけでも配慮になります。列があるときは、一度横にずれてもらう方法も使えます。
二重決済が起きてしまったとき
二重決済が分かった場合、担当者が1人で処理しません。取消の操作に権限が要ることが多く、返金の方法も決済の種類で変わります。
流れとしては次のようになります。
- 責任者を呼ぶ
- 端末の履歴で二重になっていることを確認する
- 取消の操作を行う(権限がある人が)
- 記録に残す
- お客様に、反映の時期を伝える
5を忘れないようにします。カード決済の取消は、明細に反映されるまで時間がかかることがあります。「本日中に戻ります」と言えない場合が多いので、確定していないことを断定しないほうが安全です。
「お戻しの手続きをいたしました。ご利用明細への反映にお時間をいただく場合がございます」という形にしておくと、あとで食い違いません。
現金との混在と、レジ締めへの影響
キャッシュレスが増えると、レジ締めの見方が変わります。現金を数えても、決済のずれは見つかりません。
| 決済 | 締めでの確かめ方 |
|---|---|
| 現金 | 数えて売上と突き合わせる |
| カード・電子マネー | 端末の集計とレジの売上を突き合わせる |
| コード決済 | 同上。種類別に件数を見る |
種類別に件数を見るのが要点です。合計金額だけ見ていると、取消漏れや二重決済が相殺されて見えなくなることがあります。
締めの手順はレジ締めのやり方に、ずれの探し方はレジが合わないときにまとめました。電子決済だけがずれる場面があるので、現金と分けて見る必要があります。
セルフレジ・セミセルフでのキャッシュレス
セルフレジでは、お客様が操作するぶん、つまずく場所が増えます。
- かざす位置が分からない
- 種類の選択を間違える
- 決済の途中で画面が進んでしまう
- 領収書の出し方が分からない
係員が呼ばれる頻度が高いので、呼び出しに気づく仕組みと、すぐ行ける立ち位置が要ります。呼ばれてから行くまでの時間が、そのまま待ち時間になります。
案内するときは、画面を指しながら伝えるほうが速く終わります。お客様の端末や財布に触れないという線は守ります。
店として準備しておけること
キャッシュレスの対応は、担当者の記憶に頼ると事故になります。
| 準備するもの | 内容 |
|---|---|
| 使える決済の一覧 | レジのそばに掲示 |
| エラー時の手順書 | 二度押ししない、履歴の見方 |
| 連絡先 | 決済事業者、端末の保守 |
| 権限の範囲 | 誰が取消できるか |
| 反映時期の説明文 | 返金の案内で使う定型 |
手順書を端末のそばに置くのがいちばん効きます。エラーは頻度が低いぶん、起きたときに手順を覚えていません。
使える決済の一覧は、お客様への案内にもなります。「何が使えますか」と聞かれる回数が減るので、掲示しておく価値があります。
キャッシュレスは、種類ごとに確かめる場所が違う
決済が通ったかどうかを確かめる場所は、種類によって違います。ここを知らないと、その場で判断できません。
| 種類 | 確かめる場所 |
|---|---|
| クレジットカード | 端末の取引履歴、控えの出力 |
| 電子マネー | 端末の画面、残高の表示 |
| コード決済 | 端末の履歴、お客様の端末の完了画面 |
| タッチ決済 | 端末の履歴 |
コード決済では、お客様の端末に完了画面が出ます。こちらの端末で分からない場合、見せてもらうのがいちばん確実です。「お手元の画面をご確認いただけますか」と頼みます。
お客様の端末には触れません。画面を見せてもらう形にとどめます。
控えが出力される決済では、控えが出たかどうかが成立の目安になります。出ていない場合は成立していないことが多いのですが、機種によって扱いが違うので自店の手順を確かめます。
キャッシュレスは、締めと売上の見方を変える
キャッシュレスの比率が上がると、レジ締めで見るものが変わります。
| 昔からの見方 | 今の見方 |
|---|---|
| 現金を数えて合わせる | 現金+決済種別ごとに突き合わせる |
| 合計が合えばよい | 種別ごとに件数を見る |
| 違算=現金のずれ | 決済のずれは現金に出ない |
種別ごとに件数を見るのが要点です。合計金額だけだと、二重決済と取消漏れが相殺されて見えなくなることがあります。
キャッシュレスが増えると、釣銭の減りも変わります。現金の会計が減るので準備金を減らせますが、金種の構成まで一律に減らすと切れやすくなります。考え方は釣銭管理にまとめました。
手数料の扱いも、店の会計に関わります。担当者が触る部分ではありませんが、決済の記録が正確でないと集計が合わないという形でつながっています。記録を正確に残すことが、そのまま店の役に立ちます。
キャッシュレスは、お客様の側の事情に踏み込まない
決済が通らない理由の多くは、お客様の側の事情です。こちらから推測して言わないという線が、この業務では特に重要になります。
| 通らない理由 | こちらに分かるか |
|---|---|
| 残高不足 | 分からない |
| 限度額超過 | 分からない |
| 利用停止 | 分からない |
| 期限切れ | 券面で分かる場合がある |
| 通信・端末の問題 | こちら側の問題 |
上の3つは、こちらには分かりません。端末に表示が出ることがありますが、それを読み上げると、周りに聞こえる形で個人の事情を明かすことになります。
言い方は「こちらではお通しできませんでした」に固定しておきます。端末側の結果だけ伝える形なら、理由を問わず使えます。
こちら側の問題である可能性もあります。通信が切れている、端末が不調という場合は、こちらの問題として謝る場面になります。切り分けがつかないときは、別の方法を案内するほうが早く終わります。
キャッシュレスの対応は、記録が返金の根拠になる
決済のトラブルは、あとから申し出があることが多い業務です。記録が無いと、何が起きたか分かりません。
残しておきたいのは次の項目です。
| 項目 | なぜ要るか |
|---|---|
| 日時 | 端末の履歴と照合 |
| 決済の種類 | 問い合わせ先が変わる |
| 取引番号 | 特定するため |
| エラーの内容 | 原因の切り分け |
| 対応した内容 | 二重決済の有無 |
| 対応者 | 経緯を聞ける |
取引番号が残っていると、照会が早く終わります。番号が無いと、時刻から探すことになり、時間がかかります。
二重決済の疑いがある場合は、その場で記録を残すのが確実です。あとから思い出して書くと、時刻や番号が不正確になります。
返金の反映には時間がかかる場合があるので、いつ手続きしたかを残しておくと、お客様への説明にも使えます。
キャッシュレスは、種類が増えるほど手順が要る
キャッシュレス決済は種類が増え続けています。覚えるのではなく、手順を置いておくほうが現実的な業務になりました。
新しい決済が増えるたびに、担当者が全部を覚えるのは無理があります。使える種類の一覧と、エラー時の手順が紙になっていれば、覚えていなくても対応できます。
お客様のほうも迷います。「何が使えますか」と聞かれる回数は、種類が増えるほど多くなります。レジに掲示があると、聞かれる前に解決します。
トラブルの連絡先も種類ごとに違います。どこに電話すればよいかが分からないと、その場で止まります。一覧に連絡先まで載せておくと、責任者が不在でも進められます。
新しい決済が導入されたときは、落ち着いている時間に一度試すと、本番で慌てません。
キャッシュレスは、現金の扱いも変える
キャッシュレスが増えると、現金の扱いも変わります。
現金の会計が減るぶん、釣銭の準備金を減らせます。ただし、金種の構成まで一律に減らすと切れやすくなります。現金で払う方は残るので、硬貨の需要は比例して減りません。
締めの時間も変わります。数える現金が減るので短くなりますが、決済の突き合わせが増えます。合計が合っても、種別の件数がずれていることがあります。
現金を扱う機会が減ると、慣れも落ちます。釣銭の数え方や、違算の探し方は、頻度が下がるぶん手順を残しておく価値が上がります。
どちらも、現金の作業が無くなるわけではないという前提で考えると、準備が変わります。
よくある質問
エラーが出たらもう一度試していいですか
同じ操作を繰り返しません。完了しているのに再実行すると二重決済になります。まず履歴で完了しているか確かめます。
残高不足だと伝えていいですか
原因を推測して言わないほうが安全です。「こちらではお通しできませんでした」と、端末側の結果だけ伝えます。
二重決済に気づいたときは
1人で処理しません。取消に権限が要ることが多いので、責任者を呼びます。反映の時期は断定しないで伝えます。
締めで決済がずれました
現金を数えても見つかりません。端末の集計とレジの売上を、種類別に突き合わせます。
お客様の端末を操作していいですか
触れないのが原則です。画面を指しながら案内する形にとどめます。
通ったかどうか、こちらで分かりませんでした
コード決済ではお客様の端末に完了画面が出ます。見せてもらう形にとどめ、端末には触れません。
締めで決済の件数が合いません
種別ごとに件数を見ます。合計金額だけだと、二重決済と取消漏れが相殺されて見えなくなります。
端末に理由が表示されました
読み上げません。周りに聞こえる形で個人の事情を明かすことになります。「お通しできませんでした」に固定します。
あとから二重決済の申し出がありました
記録が無いと照合できません。取引番号と時刻が残っていると、照会が早く終わります。
決済の種類が多すぎて覚えられません
覚えるのではなく、一覧と手順を置いておく形が現実的です。種類は増え続けます。
エラーの原因が分かりません
切り分けは難しいので、完了しているかだけ確かめて、別の方法を案内します。原因の特定は担当者の役割ではありません。
まとめ
キャッシュレス決済でいちばん避けたいのは、エラーが出たあとに同じ操作を繰り返すことです。完了しているのに再実行すると二重決済になり、あとから発覚するので対応が重くなります。
エラーが出たら、まず履歴で完了しているかを確かめます。原因はお客様の事情であることが多いので、残高や限度額を推測して言わず、端末側の結果だけ伝えます。
締めでは、現金を数えても決済のずれは見つかりません。端末の集計とレジの売上を、種類別に突き合わせます。エラーは頻度が低いので、手順書を端末のそばに置いておくと、起きたときに迷いません。