接客の基本実務2026.09.17 公開SK-12

店舗の申し送り|次の人が困らない書き方

目次

申し送りは、シフトが交代するときに次の人へ引き継ぐ連絡のことです。書いていないせいで起きるトラブルは、店の中でかなりの割合を占めます。取り置きが渡らない、苦情の続きが分からない、機器の不調が放置される。どれも「言ったつもり」から始まります。

この記事では、申し送りに何を書くか、どう書くと伝わるかを整理します。長く書く必要はなく、項目が決まっていれば数行で足ります。

型から入りたい方は、5つに分けた「接客の基本」を先に読むと全体の順番が分かります。→ 接客の基本

結論:申し送りは「口で言わない」ことが要点

申し送りが伝わらない原因のほとんどは、口頭で済ませていることです。交代のタイミングは双方が忙しく、聞いたほうも動きながら聞いています。その場では分かったつもりでも、数時間後には残っていません。

ポイントはここです。書けば、聞いた側が忘れても残ります。口で伝えるのをやめる必要はありませんが、口頭は補足で、本体は紙かシステムに置きます。

もう1つ大事なのが、読む相手が誰か分からない前提で書くことです。次のシフトの人が誰かは、当日変わることがあります。「〇〇さんに言っておいた」は引き継ぎになりません。

口頭だけか、書いたものか口頭だけ交代時は双方が忙しい数時間後に残らない言ったつもりになる書いたもの聞いた側が忘れても残る誰が読むか分からなくてよ口頭は補足
口頭だけの申し送りと、書いた申し送りの違い

申し送りに書く5つ

申し送りに書く内容は、店によって多少違いますが、次の5つを押さえると抜けが減ります。

項目
未完了の用件取り置き、取り寄せ、折り返しの電話
お客様との約束何を、いつまでに、誰に
起きたこと苦情、トラブル、けが
設備と在庫機器の不調、切らしているもの
変更価格、営業時間、当日の変更点

いちばん抜けるのが1つ目の未完了の用件です。自分の勤務中に終わらなかったことは、意識から外れやすくなります。交代の10分前に、終わっていないものを見直す習慣にすると残ります。

2つ目の約束は、「誰が・何を・いつまで」の3つがそろっていないと引き継げません。「お取り置きのお客様が来ます」だけでは、来たときに対応できません。

申し送り1:未完了の用件

未完了の用件は、中途半端な状態がいちばん危ないものです。完了していれば残す必要はなく、手つかずなら次の人が最初から対応できます。困るのは途中です。

書くときは、どこまで終わっているかを添えます。

  • 「〇〇様の取り寄せ、メーカーに発注済み。入荷連絡待ち」
  • 「返品の件、店長に確認中。回答待ち」
  • 「クレームの折り返し、本日中と伝えてある。未連絡」

「どこまで終わったか」があると、次の人は続きから動けます。これが無いと、確認のために最初からやり直すことになります。

申し送り2:お客様との約束

お客様に何かを約束した場合は、必ず残します。約束した本人が翌日休みでも成立する形にしておきます。

書く項目は決まっています。

項目なぜ要るか
お客様の名前来店時に照合する
内容何を約束したか
期限いつまでと言ったか
連絡先必要なら連絡する
対応した人経緯を聞ける

期限を残すのが特に重要です。「今週中」と言ったのか「明日」と言ったのかで、次の人の動き方が変わります。曖昧に伝えると、約束を破る形になります。

申し送り3:起きたこと

苦情、トラブル、けが、機器の故障。その日に起きた異常は、収まっていても残します。

収まったのに書く理由は2つあります。同じことが繰り返されているか分かることと、続きが来る可能性があることです。

苦情は、その場で収まっても後日連絡が来ることがあります。何も残っていないと、次に受けた人が一から聞くことになり、お客様は同じ話を繰り返すことになります。これ自体が次の苦情の材料になります。

書き方は、クレーム対応の基本手順の記録と同じで構いません。「何を約束していないか」まで書いておくと、次の人が踏み込みすぎずに済みます。

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申し送り4:設備と在庫

機器の不調と、切らしているものは、次の人が同じ場所でつまずくので残します。

  • レジの引き出しの開きが悪い
  • 冷蔵ケースの音が大きい
  • レシート用紙が残り1本
  • 釣銭の千円札が少ない

機器の不調は、記録が並ぶと原因が見えてきます。1回では「たまたま」でも、3回続けば修理の判断材料になります。書かないと、その判断ができません。

在庫や消耗品は、切れてからでは遅い部分です。「残り1本」の時点で書くようにすると、次の人が発注か補充を判断できます。

残す4種類と、書かないと起きること種類書かないと未完了取り置き・折り返し最初からやり直す約束誰に、何を、いつま来たとき対応できな起きたこと苦情・けが同じ話を繰り返させ設備と在庫不調・残りわずか同じ場所でつまずく
申し送りに残す4種類と、書かないと起きること

申し送りの書き方

申し送りは長く書く必要がありません。読まれなければ意味がないので、短さのほうが優先されます。

使える形は次のとおりです。

  1. 1件1行で書く
  2. 未完了のものを上に置く
  3. 日付と名前を入れる
  4. 済んだものは線を引いて消す

「済んだものを消す」が抜けると、次第に読まれなくなります。古い内容が混ざったノートは、全部を読まないと今日の分が分からないので、そのうち誰も開かなくなります。

書く場所は固定します。ノート、ホワイトボード、システム。どこに書くか迷う状態だと、書かない日が出ます。交代のとき必ず通る場所に置いておくのが確実です。

申し送りは、読む側の型も決めておく

申し送りは書くだけでは回りません。読む習慣がセットで要ります。

一般的なのは、出勤したら最初に読むという決めごとです。制服に着替えたあと、売り場に出る前。ここを固定しておくと、忙しい日でも抜けません。

読んだことを示す仕組みがあると、さらに確実になります。名前を書く、チェックを入れる。誰が読んだか分かると、伝わっていない相手が見えます。

店として決めておきたいのは3つです。

決めること内容
書く場所1か所に固定する
書く時点交代の10分前
読む時点出勤して売り場に出る前

交代の10分前という時点を決めておくと、慌てて書くことがなくなります。終わりぎわに思い出しながら書くと、必ず抜けます。

申し送りは、書く量より置き場所で決まる

申し送りが回らない店の共通点は、内容ではなく置き場所が決まっていないことです。

状態起きること
置き場所が複数ある書く側が迷い、読む側が探す
見に行く必要がある忙しい日に読まれない
私物のメモに書いている本人がいないと分からない
システムと紙が混在どちらが最新か分からない

交代のとき必ず通る場所に置くのが、いちばん確実な形です。更衣室の出口、レジの内側、タイムカードの横。動線の上にあると、意識しなくても目に入ります。

システムを使っている店では、紙と混在させないほうが回ります。どちらかに寄せて、もう一方は使わないと決めます。両方あると、書いた側も読む側も確認が二度手間になります。

申し送りは、書く人によって粒度が変わる

同じ出来事でも、書く人によって残る情報が変わります。粒度をそろえる仕組みがあると、読む側が楽になります。

効くのは、項目を印刷しておくことです。白紙に自由に書く形だと、何を書くか毎回考えることになり、人によって差が出ます。

印刷しておく項目埋める内容
未完了何が途中か
約束誰に、何を、いつまで
起きたこと苦情・トラブル・けが
設備・在庫不調、残りわずか
特になし該当が無ければ印を付ける

「特になし」の欄があると、書き忘れと区別がつきます。空欄だと、書き忘れたのか本当に無いのか分かりません。

書く時点も決めておきます。交代の10分前にすると、慌てずに書けます。終わりぎわに思い出しながら書くと、必ず抜けます。

白紙か、項目を印刷しておくか白紙何を書くか毎回考える人によって粒度が変わる項目を印刷順に埋めるだけ「特になし」の欄がある書き忘れと区別がつく
白紙に書く形と、項目を印刷しておく形

申し送りは、交代の10分前に見直す

申し送りが抜けるのは、終わりぎわに思い出しながら書くときです。時点を決めておくと、慌てずに済みます。

交代の10分前に、次を見直します。

見るもの確かめること
手元の作業終わっていないものはあるか
受けた依頼取り置き、取り寄せ、折り返し
今日あったこと苦情、トラブル、機器の不調
在庫と消耗品切らしているもの、残りわずか

「終わっていないもの」から見るのが要点です。完了したものは書かなくてよく、手つかずのものは次の人が最初から対応できます。困るのは途中の状態です。

書くのは1件1行で足ります。長く書くと読まれません。どこまで終わったかを添えると、次の人が続きから動けます。

書いたあと、口頭でも伝えます。書いたものが本体で、口頭は補足という順番にしておくと、聞き逃されても残ります。

申し送りは、読む側の負担も考える

申し送りは、書く側だけでなく読む側の負担も考えないと回りません。

読みにくい形直し方
全部が同じ重さで並ぶ未完了を上に置く
古い内容が混ざる済んだものに線を引く
長文で書かれている1件1行にする
略語が多い新しい人が読む前提で書く
手書きが読めない書きやすい大きさで書く

「済んだものに線を引く」が抜けると、次第に読まれなくなります。全部を読まないと今日の分が分からないので、そのうち誰も開かなくなります。

略語も注意が要ります。書いた人には通じても、新しく入った人には分かりません。「Aの件」「例の取り置き」のような書き方は、引き継ぎになりません。

読む時点を決めておくのも効きます。出勤して売り場に出る前に固定すると、忙しい日でも抜けません。

申し送りは、何を書かないかも決めておく

申し送りには、書かないほうがよい内容もあります。ここを決めておかないと、記録として使えなくなります。

書かないほうがよい理由
個人の評価・感想記録ではなく意見になる
お客様の外見の特徴不適切な扱いにつながる
従業員の体調や私的な事情共有の範囲を超える
確認していない推測事実と混ざる

事実と感想を分けるのが要点です。「感じの悪いお客様が来た」ではなく「〇〇について指摘を受けた」と書くと、記録として使えます。

お客様の特徴を書く必要がある場面もありますが、目的に必要な範囲までにします。繰り返し来る相手への対応を共有する場合など、理由があるときに限られます。

推測を書くときは、推測だと分かる形にします。「〜と思われる」と「〜だった」を混ぜないと、あとで読む人が事実として受け取ります。

書くことと、書かないこと書く事実対応した内容約束していないこと記録として使える書かない個人の評価外見の特徴確認していない推測別の問題になる
書くことと、書かないこと

申し送りは、書く人が変わっても同じ形にする

そろえる3つ項目印刷しておく順番未完了を上に固定粒度1件1行
そろえる3つ。項目・順番・粒度

申し送りは、書く人が変わっても同じ形であることが、読む側にとって重要になります。

形がそろっていないと、読む側は毎回どこに何が書いてあるか探すことになります。忙しい日には、それだけで読まれなくなります。

そろえるのは3つです。

そろえるもの方法
項目印刷しておく
順番未完了を上に固定
粒度1件1行

項目を印刷しておくのがいちばん効きます。白紙に自由に書く形だと、人によって残る情報が変わります。

新しく入った人にも、この形をそのまま渡せます。「ここに、この順で書いてください」と言えれば、初日から申し送りに参加できます。

形を変えるときは、全員に伝えます。片方の形で書き続ける人がいると、そこだけ抜けて見えます。

よくある質問

申し送りは口頭ではだめですか

口頭だけだと残りません。交代時は双方が忙しく、聞いたほうも動きながら聞いています。口で伝えるのは補足にして、本体は書いたものに置きます。

書くことが思いつきません

未完了の用件から見ます。自分の勤務中に終わらなかったものを書き出せば、たいていはそれで足ります。何も無ければ「特になし」と書きます。

「特になし」でも書きますか

書くほうがよい形です。空欄だと、書き忘れなのか本当に無いのか分かりません。次の人が確認に来る手間が減ります。

前の人の申し送りが分かりません

その場で聞ける相手がいれば聞きます。いなければ、分からなかったことを申し送りに書き足します。同じことで次の人も困ります。

申し送りノートが読まれていません

古い内容が残っている可能性があります。済んだものを消すようにすると読まれ方が変わります。読む時点を決めるのも効きます。

システムと紙のどちらがいいですか

どちらでも構いませんが、混在させないほうが回ります。両方あると、どちらが最新か分からなくなります。

書く人によって内容がばらつきます

項目を印刷しておくと粒度がそろいます。白紙だと、何を書くか毎回考えることになります。

申し送りが読まれていません

済んだものに線を引くと読まれ方が変わります。古い内容が混ざっていると、全部を読まないと今日の分が分かりません。

お客様の特徴は書いていいですか

目的に必要な範囲までにします。外見の特徴を細かく書くのは、不適切な扱いにつながります。

引き継ぐ相手がいない時間帯があります

書いたものが残っていれば成立します。読む相手が決まっていなくても、決まった場所に置くことが引き継ぎになります。

口頭でも伝えたほうがいいですか

伝えて構いませんが、書いたものが本体です。口頭だけだと、忙しい交代時に残りません。

前の人が書いていません

分からなかったことを、自分の申し送りに書き足します。同じことで次の人も困ります。

まとめ

申し送りは、口頭で済ませると残りません。交代のタイミングは双方が忙しく、聞いたほうも動きながら聞いています。本体は書いたものに置いて、口頭は補足にします。

書くのは5つです。未完了の用件、お客様との約束、起きたこと、設備と在庫、変更点。抜けやすいのは未完了の用件で、交代の10分前に見直す習慣にすると残ります。

長く書く必要はありません。1件1行、未完了を上に、済んだものは消す。読む時点も決めておくと、書いたものが実際に回り始めます。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

開店・閉店チェックリストやクレーム対応記録の様式を探している方へ。業種別にそろえている商い屋にあります。

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