レジ・会計実務2026.09.18 公開RE-12

売上金の管理|1人で完結させない形

目次

売上金の管理は、問題が起きるまで誰も見ていない業務です。毎日回っているように見えて、手順が1人の頭の中にしかないことがあります。

この記事では、売上金の管理を1人で完結させない形として整理します。疑う話ではなく、扱う人を守る話です。

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結論:売上金の管理は1人で完結させない

売上金の管理でいちばん大事なのは、1人で完結させないことです。

数える、記録する、保管する、運ぶ。この4つを全部1人がやる形は、避けます。

ポイントはここです。これは疑うためではなく、扱う人を守るためです。数字が合わなかったときに、1人しか触っていないと、その人が疑われます。

一般には、人数が少ない店ほど1人に集中します。ただ、全部を分けられなくても、確認だけを別の人がやる形なら作れます。

4つを分ける数える間違いが起きる記録するあとから確かめる保管する盗難の対象運ぶ外を持ち歩く
数える・記録する・保管する・運ぶという4つを分ける層の図

4つの工程に分ける

売上金の管理は、4つの工程に分かれます。

工程中身分けたい理由
数えるレジから出して数える間違いが起きる
記録する金額と差額を書く後から確かめる
保管する金庫や決めた場所へ盗難の対象
運ぶ金融機関へ外を持ち歩く

最低限、数える人と確かめる人を分けます。これだけで、単純な数え間違いがその場で見つかります。

人数が足りない場合は、翌朝に別の人が確かめる形でもかまいません。同じ日でなくても、2人の目が入ることに意味があります。

数える手順を決める

数える手順は、毎回同じにします。

一般には、次の順で数えます。紙幣を金種ごと、硬貨を金種ごと、合計を出す、レジの記録と比べる。

金種ごとに数えるのは、どこで差が出たかを追えるようにするためです。合計だけを数えると、差が出たときに最初からやり直しになります。

数える手順4段1紙幣金種ごとに2硬貨金種ごとに3合計足し上げる4レジと比べ差額を見る
紙幣・硬貨・合計・レジと比べるという4段の数える手順のフロー

数える場所も決めます。売り場から見えない場所です。カウンターの上で数えると、外から金額が分かります。

差額が出たときの扱い

差額が出たときに、その場で何度も数え直さないでください。

決めておくのは3つです。数える回数、記録の仕方、報告する先。

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一般には、2回数えて合わなければ記録して報告する形が取られています。3回目以降を数えても、たいてい合いません。

記録に残すのは4つです。日付、差額、担当、その日に起きたこと。溜めると、同じ担当ではなく同じ場面で起きていることが見えます。

差額を個人の責任にしないでください。責任にすると、差額が隠されます。隠されると、原因が分からなくなります。

保管の場所を決める

売上金の保管場所は、決めて、変えないのが基本です。

決めるのは4つです。場所、鍵の管理、入れてよい人、置いておく上限。

決めること中身
場所売り場から見えない、固定された場所
誰が持つか、予備はどこか
入れる人決めた人だけ
上限超えたら入金する額

4つ目を決めていない店が多くあります。連休をはさむと、金額が大きく膨らみます。

鍵の予備は、別の場所に保管します。同じ場所に置くと、意味がありません。

入金に行く段取り

金融機関へ持って行く段取りも、決めておきます。

決めるのは4つです。誰が行くか、いつ行くか、どの道を通るか、いくらまで1人で運ぶか。

3つ目が見落とされます。毎日同じ時刻に同じ道を通ると、外から見ている人に分かります。時刻か経路のどちらかを変えます。

金額が大きい場合は、1人で運ばない決まりにしている店もあります。上限を決めて、超えたら2人で行く形にします。

夜間金庫を使う場合も、行く時刻を毎回同じにしないほうが安全です。

運ぶときの4つ決めること中身担当1人か2人か時刻毎回同じにしない経路同じ道を通らない上限超えたら2人で
担当・時刻・経路・上限という4つの運ぶ決めごとを並べた表

記録を残す

売上金の動きは、すべて記録に残します。

残すのは5つです。日付、金額、誰が数えたか、誰が確かめたか、どこへ入れたか。

4つ目が抜けやすい部分です。確かめた人の欄が空いていると、1人で完結した形になります。

記録は、売上日報とは別に持つか、日報の中に欄を作ります。どちらでもかまいませんが、1か所にまとめます。分かれていると、追うときに両方を見ることになります。

現金以外の売上

キャッシュレスの売上は、現金と分けて記録します。

入金される日が違うためです。その日の売上と、口座に入る日がずれます。混ぜて記録すると、どこまで入金されたかが分からなくなります。

一般には、決済の種類ごとに合計を出す形が取られています。レジから出る精算のレシートに載っていることが多くあります。

入金の確認も、誰がやるかを決めます。入っていない分があっても、見ていなければ気づきません。

扱う人を守る形

売上金を扱う人は、疑われる立場にもなります。

守る形は3つです。1人で完結させない、記録を残す、担当を固定しない。

3つ目は、同じ人だけが長く扱わないという意味です。休みが取りにくくなるうえ、差額が出たときに真っ先に見られます。

一般には、月に1回、担当を入れ替える形が取られています。人数が足りない店では、確かめる人だけでも入れ替えます。

扱う人を守る3つ完結させない2人の目が入る記録確かめた人も書く担当を回す月に1回
1人で完結させない・記録・担当を回すという3つの守る形を並べた層の図

手順を1枚にする

売上金の管理の手順は、1枚にまとめます。

書くのは4つです。数える手順、差額が出たときの対応、保管の場所と鍵、入金の段取り。

置く場所は、数える場所のそばです。事務所の棚の中にあると、見られません。

新しく責任者になる人には、この1枚を最初に渡します。手順が頭の中にしかないと、引き継ぎのたびに変わります。

保存の期間

売上金に関わる記録は、帳簿書類として保存の期間が定められている場合があります。

金額が記載された記録は、税務上の扱いを受けることがあるとされています。店の判断で処分しないでください。

保存の期間や方法に迷う場合は、社内の担当か、顧問の税理士、所轄の税務署に確かめてください。

レジ締めから入金までをつなげる

売上金の管理は、レジ締めから入金までが1本の流れです。

途中で切れると、そこで止まります。「締めたけれど金庫に入れていない」「金庫にあるけれど入金していない」が起きます。

一般には、どこまで進んだかを記録に残す形が取られています。締めた、保管した、入金した。それぞれに日付と担当を書きます。

入金までの4段1締める日付と担当を書く2保管する決めた場所3入金する上限を超える前に4記録するどこまで進んだか
締める・保管する・入金する・記録するという4段の流れのフロー

止まりやすいのは、連休や、責任者が休みの日です。あらかじめ、そのときの扱いを決めておきます。

金庫の中を定期的に数える

金庫に入っている現金は、定期的に数えます。

一般には、週に1回が目安とされています。毎日入れて、月に1回しか数えないと、差が出たときにどの日か分かりません。

数えるのは、入れた人以外が望ましい形です。人数が足りない場合は、記録と突き合わせるだけでもかまいません。

数えた結果は記録に残します。合っていた日も残します。合っていた記録があるから、合わなかった日が分かります。

現金を持ち歩くときの備え

現金を持ち歩く場面では、見えない形にします。

一般には、専用の袋や鞄を使わないという考え方もあります。いかにも現金を運んでいる形は、外から分かります。

持ち歩くときの決めごとは3つです。寄り道をしない、携帯を手に持たない、声をかけられても立ち止まらない。

3つ目が大事です。道を聞かれる形で足を止めさせる手口があります。断って進んでよい、と先に伝えておきます。

責任者が休む日の扱い

売上金の管理は、責任者が休む日にいちばん止まります。

決めておくのは3つです。誰が代わりに数えるか、保管まででよいのか入金まで行くのか、鍵をどう渡すか。

3つ目が難しい部分です。鍵を手渡しで回すと、誰が持っているか分からなくなります。受け渡しの記録を残す形にします。

一般には、責任者が休む日は保管までという線が取られています。入金は戻ってからで足ります。ただし、保管の上限を超えないかを先に見ます。

休む日の4つ決めること中身数える人代わりを決めるどこまで進むか保管までにする鍵の受け渡し記録を残す上限超えないか先に見る
数える人・どこまで進むか・鍵の受け渡し・上限という4つの決めごとを並べた表

引き継ぎのときに確かめる

売上金の管理を引き継ぐときは、4つ確かめます。

金庫の中の金額、鍵の本数、記録の場所、入金の予定。口頭で引き継ぐと、必ずどれかが抜けます。

一般には、引き継ぐ日に2人で数える形が取られています。数えた金額を両方が記録に書いて、それを起点にします。

鍵の本数は、予備も含めて数えます。何本あるか分からないまま引き継ぐと、その後ずっと分かりません。

金額の上限を決める意味

売上金の保管に上限を置く意味は、2つあります。

1つは盗難の被害を小さくすること。もう1つは、入金の頻度を決めることです。

上限が無いと、「忙しいから明日でいい」が続きます。上限があると、超えた時点で行く理由ができます。

決め方は、1日の売上の2日分が1つの目安です。連休の前は、事前に入金して減らしておきます。

まとめ

売上金の管理は、1人で完結させないことが軸です。

  • 数える、記録する、保管する、運ぶの4つを分ける
  • 最低限、数える人と確かめる人を分ける
  • 差額は2回数えて合わなければ記録して報告。個人の責任にしない
  • 保管は場所、鍵、入れる人、上限の4つを決める
  • 運ぶときは毎日同じ時刻に同じ道を通らない

金額が記載された記録は、保存の期間が定められている場合があります。扱いに迷う場合は、社内の担当か、顧問の税理士、所轄の税務署に確かめてください。

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よくある質問

Q. なぜ1人で完結させてはいけないのですか。 A. 疑うためではなく、扱う人を守るためです。数字が合わなかったときに、1人しか触っていないとその人が疑われます。

Q. 人数が足りません。 A. 全部を分けられなくても、確認だけを別の人がやる形なら作れます。翌朝に別の人が確かめる形でもかまいません。

Q. 数える手順はどうしますか。 A. 紙幣を金種ごと、硬貨を金種ごと、合計、レジと比べるの順です。合計だけを数えると、差が出たときに最初からやり直しになります。

Q. どこで数えますか。 A. 売り場から見えない場所です。カウンターの上で数えると、外から金額が分かります。

Q. 差額が出ました。 A. 2回数えて合わなければ記録して報告してください。3回目以降を数えても、たいてい合いません。

Q. 差額を担当の責任にしてよいですか。 A. しないでください。責任にすると、差額が隠されます。隠されると原因が分からなくなります。

Q. 保管の場所で何を決めますか。 A. 場所、鍵の管理、入れてよい人、置いておく上限の4つです。上限を決めていない店が多くあります。連休で膨らみます。

Q. 鍵の予備はどこに置きますか。 A. 別の場所に保管してください。同じ場所に置くと、意味がありません。

Q. 入金に行く段取りで気をつけることは。 A. 毎日同じ時刻に同じ道を通らないでください。外から見ている人に分かります。時刻か経路のどちらかを変えます。

Q. 1人で運んでよいですか。 A. 上限を決めてください。超えたら2人で行く形にしている店もあります。夜間金庫も時刻を変えます。

Q. 記録に何を残しますか。 A. 日付、金額、誰が数えたか、誰が確かめたか、どこへ入れたかの5つです。確かめた人の欄が空いていると、1人で完結した形になります。

Q. キャッシュレスの売上も一緒に記録しますか。 A. 分けて記録してください。入金される日が違います。混ぜると、どこまで入金されたかが分からなくなります。

Q. 入金の確認は誰がやりますか。 A. 決めておいてください。入っていない分があっても、見ていなければ気づきません。

Q. 担当をずっと同じ人にしてよいですか。 A. 入れ替えてください。休みが取りにくくなるうえ、差額が出たときに真っ先に見られます。月に1回が目安です。

Q. どれくらい保存しますか。 A. 帳簿書類として期間が定められている場合があります。顧問の税理士か所轄の税務署に確かめてください。店の判断で処分しないでください。

Q. レジ締めから入金まで、どこで止まりますか。 A. 連休や、責任者が休みの日です。「締めたけれど金庫に入れていない」が起きます。どこまで進んだかを記録に残してください。

Q. 金庫の中をいつ数えますか。 A. 週に1回が目安です。月に1回しか数えないと、差が出たときにどの日か分かりません。合っていた日も記録します。

Q. 現金を持ち歩くときの決めごとは。 A. 寄り道をしない、携帯を手に持たない、声をかけられても立ち止まらないの3つです。道を聞く形で足を止めさせる手口があります。

Q. 責任者が休む日はどうしますか。 A. 保管までという線が一般的です。入金は戻ってからで足ります。ただし保管の上限を超えないかを先に見てください。

Q. 鍵をどう渡しますか。 A. 受け渡しの記録を残してください。手渡しで回すと、誰が持っているか分からなくなります。

Q. 引き継ぐときに何を確かめますか。 A. 金庫の中の金額、鍵の本数、記録の場所、入金の予定の4つです。口頭で引き継ぐと必ずどれかが抜けます。

Q. 引き継ぐ日に何をしますか。 A. 2人で数えてください。数えた金額を両方が記録に書いて、それを起点にします。鍵は予備も含めて数えます。

Q. 保管の上限をどう決めますか。 A. 1日の売上の2日分が1つの目安です。上限が無いと「忙しいから明日でいい」が続きます。連休前は事前に入金して減らします。

Q. 手順を1枚にまとめるとしたら何を書きますか。 A. 数える手順、差額が出たときの対応、保管の場所と鍵、入金の段取りの4つです。数える場所のそばに置いてください。

Q. 新しく責任者になる人に何を渡しますか。 A. その1枚です。手順が頭の中にしかないと、引き継ぎのたびに変わります。