閉店作業の手順|最後のお客さまを急かさない形
目次
閉店の時刻が近づくと、片づけを始めたくなります。ところが、まだお客さまがいる前で椅子を上げたり、掃除を始めたりすると、急かしているように見えます。閉店作業は、お客さまがいる時間と、いない時間で分けて組むと、この問題が消えます。
この記事では、閉店作業を、急かして見える理由、分けて組む方法、順番、レジ締めとの関係、翌日への引き継ぎの順に整理します。現金や設備の扱いには社内の決まりがあります。手順は社内の担当に確かめてください。
結論:お客さまがいる時間に、やってよいことだけをやる
閉店作業で印象が悪くなるのは、やる順番が原因です。
急かして見えるのは3つです。
1つ目は、目の前で片づけ始めることです。椅子を上げる、商品を下げる。
2つ目は、音を立てることです。掃除機、シャッター、食器の音。
3つ目は、視線です。まだいるのか、という目で見てしまう。
3つ目は本人が気づいていません。早く終わりたい気持ちが、視線や動きに出ます。「お客さまがいるあいだは、いつもどおりに見えるように動く」と決めておくだけで変わります。
2つに分けて組む
閉店作業は、2つに分けます。
分けるのは4つです。
1つ目は、お客さまがいてもできる作業です。事務作業、裏での準備、在庫の確認。
2つ目は、いなくなってからの作業です。清掃、片づけ、レジ締め。
3つ目は、見えない場所でできる作業です。バックヤード。
4つ目は、翌日に回してよい作業です。
1つ目と3つ目を増やすのが工夫のしどころです。閉店の30分前からバックヤードでできることを進めておくと、最後のお客さまが帰ってからの時間が短くなります。売り場では、いつもどおりに見えるように動きます。
最後のお客さまへの声のかけ方
閉店の時刻が来ても、まだいらっしゃる場合があります。
伝え方は4つです。
1つ目は、早めに伝えることです。「本日は◯時までとなっております」を、時刻の15分前に。
2つ目は、追い出す言い方にしないことです。「ごゆっくりどうぞ」を添えます。
3つ目は、必要なことだけ伝えることです。レジの締めの時刻など。
4つ目は、全員が同じ言い方をすることです。
1つ目が親切です。閉店の時刻ちょうどに言われると、急かされたと感じます。15分前に一度伝えておけば、お客さまも自分で区切りを付けられます。
順番
いなくなってからの作業は、順番を決めておきます。
順番は4段です。
1つ目は、お金に関わることです。レジ締め、売上金の扱い。人数がいるうちにやります。
2つ目は、時間のかかることです。清掃、機械の洗浄。
3つ目は、翌日の準備です。品出し、仕込み。
4つ目は、戸締まりと確認です。
1つ目を早めにやってください。レジ締めは確かめる人がもう1人要ることがあります。人が帰ったあとだと、1人でやることになります。人数がいるうちに済ませる形にしてください。
戸締まりと確認
最後の確認は、順路を決めて回ります。
見るのは4つです。
1つ目は、火と電源です。消したか、切ったか。
2つ目は、水です。蛇口、排水。
3つ目は、施錠です。出入口、裏口、金庫。
4つ目は、人が残っていないかです。
4つ目を必ず見てください。トイレやバックヤードに人が残ったまま施錠することが起きます。声をかけて回るだけです。順路を決めて、毎回同じ道を通ると抜けません。
1人で閉める日
人数が少なく、1人で閉めることがあります。
決めるのは4つです。
1つ目は、1人でやってよい作業の範囲です。
2つ目は、1人ではやらない作業です。現金の確認、高いところの作業。
3つ目は、連絡の方法です。閉め終わったことを誰に伝えるか。
4つ目は、防犯です。戸締まりと、外に出るときの周囲の確認。
2つ目を決めておいてください。1人で現金を数えると、間違いがあったときに確かめようがありません。翌朝に2人で確かめる形にするなど、社内の決まりに沿ってやり方を決めます。
レジ締めとの関係
閉店作業の中で、いちばん間違いが起きやすいのがレジ締めです。
気をつけるのは4つです。
1つ目は、疲れている時間にやることです。間違いが増えます。
2つ目は、急いでいることです。早く帰りたい。
3つ目は、1人でやることです。確かめる人がいません。
4つ目は、違算が出たときの手順です。
4つ目を先に決めておいてください。違算が出たとき、その場で何度も数え直して時間が過ぎることがあります。決められた回数だけ数えて、合わなければ記録して報告する。この形にすると、終わる時刻が読めます。
翌日への引き継ぎ
閉店の担当は、翌朝の人に情報を渡します。
書くのは4つです。
1つ目は、品切れと在庫の状況です。
2つ目は、その日のトラブルです。
3つ目は、やり残した作業です。
4つ目は、翌日に伝えたいことです。
3つ目を隠さずに書いてください。やり残したことを書くと責められる、という空気があると、書かれずに翌朝に発覚します。「終わらなかったことを書いてよい」と決めておくほうが、店全体としては早く回ります。
チェック表を1枚にする
開店と閉店のチェック表は、同じ1枚にすると使いやすくなります。
作るのは4つです。
1つ目は、表の裏表にすることです。開店が表、閉店が裏。
2つ目は、日付と担当を上に書くことです。
3つ目は、引き継ぎの欄を作ることです。
4つ目は、1日1枚にすることです。
3つ目を同じ紙に入れると、書かれるようになります。引き継ぎのノートが別にあると、書きに行くのが面倒で抜けます。閉店のチェックを付ける流れで、そのまま引き継ぎも書ける形にしてください。
閉店後の作業時間を短くする
閉店後の時間が長いと、人件費と、働く人の負担の両方が増えます。
見直すのは4つです。
1つ目は、営業中にできる作業です。手の空いた時間に進めます。
2つ目は、道具と置き場です。取りに行く距離が短いか。
3つ目は、人数の配分です。最後だけ人が多い、または少ない。
4つ目は、やらなくてよい作業です。
1つ目がいちばん効きます。手の空いた時間に少しずつ進めておくと、閉店後がまとまった作業だけになります。「暇なときに何をするか」の一覧を作っておくと、自然に進みます。
忘れ物と落とし物の確認
閉店の見回りは、忘れ物を見つける機会でもあります。
見るのは4つです。
1つ目は、椅子やテーブルの下です。
2つ目は、試着室やトイレです。
3つ目は、レジの周りです。
4つ目は、カートやかごの中です。
見つけたら、その日のうちに記録します。日時、場所、品物、見つけた人。翌日に持ち主から連絡が来ることがあります。記録が無いと、探すところから始まります。保管の場所と期間も決めておいてください。
閉店の時刻と実際の終了
閉店の時刻と、店を出る時刻は別です。
見るのは4つです。
1つ目は、閉店の時刻です。お客さまの入店が終わる時刻。
2つ目は、最後のお客さまが帰る時刻です。
3つ目は、作業が終わる時刻です。
4つ目は、店を出る時刻です。
2つ目と3つ目の差が、閉店作業の時間です。この差を記録して並べると、曜日や売上によってどう変わるかが見えます。シフトの終わりの時刻を決めるときの根拠にもなります。感覚で「だいたい30分」と決めていた部分が、数字になります。
閉店の作業を分担する
作業を1人が抱えると、その人がいない日に回りません。
やることは4つです。
1つ目は、作業を分けて書き出すことです。
2つ目は、誰ができるかを印で示すことです。
3つ目は、できる人を増やすことです。
4つ目は、1人しかできない作業をなくすことです。
4つ目を目標にしてください。レジ締めや戸締まりが1人しかできない状態だと、その人が休めません。印の一覧を見て、空欄の多い作業から教える形にすると、少しずつ広がります。
まとめ
閉店作業は、お客さまがいる時間といない時間で分けて組みます。
- 急かして見えるのは、目の前での片づけ・音・視線の3つ
- バックヤードでできることを、閉店の30分前から進める
- 閉店の15分前に一度伝えると、お客さまが自分で区切りを付けられる
- レジ締めは人数がいるうちに。確かめる人が要ることがある
- 最後の確認は順路を決めて回る。人が残っていないかを必ず見る
現金や設備の扱いには社内の決まりがあります。手順は社内の担当に確かめてください。
よくある質問
Q. 閉店の時刻を過ぎてもお客さまがいます。 A. 15分前に一度「本日は◯時までとなっております」と伝えておいてください。時刻ちょうどに言われると急かされたと感じます。「ごゆっくりどうぞ」を添えます。
Q. 片づけをいつから始めますか。 A. バックヤードでできることは30分前から。売り場での片づけは、お客さまがいなくなってからです。目の前で椅子を上げたり商品を下げたりしないでください。
Q. 早く終わりたい気持ちが出てしまいます。 A. 視線や動きに出ます。「お客さまがいるあいだは、いつもどおりに見えるように動く」と決めておくだけで変わります。本人は気づいていないことが多くあります。
Q. レジ締めはいつやりますか。 A. 人数がいるうちです。確かめる人がもう1人要ることがあります。人が帰ったあとだと1人でやることになり、間違いが増えます。
Q. 違算が出て、終わりません。 A. 数える回数を決めておいてください。決められた回数だけ数えて、合わなければ記録して報告する。その場で何度も数え直すと、終わる時刻が読めません。
Q. 1人で閉める日があります。 A. 1人でやってよい作業の範囲を決めてください。現金の確認や高いところの作業は、1人でやらない形にします。翌朝に2人で確かめる方法もあります。
Q. 最後の確認で何を見ますか。 A. 火と電源、水、施錠、人が残っていないかの4つです。順路を決めて毎回同じ道を通ると抜けません。トイレやバックヤードの声かけを忘れないでください。
Q. やり残した作業を書くと責められます。 A. 「終わらなかったことを書いてよい」と決めてください。書かれずに翌朝に発覚するほうが、店全体としては遅くなります。書ける空気を作ることが先です。
Q. 引き継ぎのノートに書くのを忘れます。 A. 閉店のチェック表に引き継ぎの欄を作ってください。別のノートに書きに行くのは面倒で抜けます。同じ紙なら、チェックを付ける流れで書けます。
Q. 翌日に回してよい作業はありますか。 A. 決めておいてください。翌朝の準備に影響しない作業は回せます。ただし回した分は引き継ぎに書いて、翌朝の担当が分かる形にします。
Q. 掃除の音が気になります。 A. お客さまがいるあいだは、音の出る作業をやらないでください。掃除機、シャッター、食器の音は、いちばん急かして聞こえます。閉店後に回してください。
Q. 閉店作業の時間が読めません。 A. チェック表に終わった時刻を書いて、1か月並べてください。曜日や売上の多い日で差が出ます。人の配置や、前日に回せる作業を見直す材料になります。
Q. 閉店後の作業時間が長くなります。 A. 営業中の手の空いた時間に進めてください。「暇なときに何をするか」の一覧を作っておくと、自然に進みます。閉店後はまとまった作業だけになります。
Q. 忘れ物はどう扱いますか。 A. 閉店の見回りで見つけたら、その日のうちに記録してください。日時、場所、品物、見つけた人。翌日に連絡が来ることがあります。保管の場所と期間も決めておきます。
Q. シフトの終わりの時刻をどう決めますか。 A. 最後のお客さまが帰る時刻と、作業が終わる時刻を記録して並べてください。曜日や売上でどう変わるかが見えます。感覚で決めていた部分が数字になります。
Q. 閉店作業が特定の人しかできません。 A. 作業を書き出して、誰ができるかを印で示してください。空欄の多い作業から教えると、少しずつ広がります。1人しかできない作業があると、その人が休めません。
Q. 閉店の時刻を延ばしてほしいと言われました。 A. 作業の時間と人件費を数字で出してください。閉店を30分延ばすと、店を出る時刻は30分以上遅くなります。判断の材料として示せます。