接客の基本実務2026.05.22 公開KH-02

閉店作業の手順|最後のお客さまを急かさない形

目次

閉店の時刻が近づくと、片づけを始めたくなります。ところが、まだお客さまがいる前で椅子を上げたり、掃除を始めたりすると、急かしているように見えます。閉店作業は、お客さまがいる時間と、いない時間で分けて組むと、この問題が消えます。

この記事では、閉店作業を、急かして見える理由分けて組む方法順番レジ締めとの関係翌日への引き継ぎの順に整理します。現金や設備の扱いには社内の決まりがあります。手順は社内の担当に確かめてください。

開店と閉店のチェック表そのものを探している場合は、商い屋にそろっています。

結論:お客さまがいる時間に、やってよいことだけをやる

閉店作業で印象が悪くなるのは、やる順番が原因です。

急かして見えるのは3つです。

1つ目は、目の前で片づけ始めることです。椅子を上げる、商品を下げる。

2つ目は、音を立てることです。掃除機、シャッター、食器の音。

3つ目は、視線です。まだいるのか、という目で見てしまう。

急かして見える3つ目の前の片づけ売り場で始める掃除機やシャッター視線時計と出口を見る
目の前での片づけ・音・視線という3つの急かして見える形を並べた層の図

3つ目は本人が気づいていません。早く終わりたい気持ちが、視線や動きに出ます。「お客さまがいるあいだは、いつもどおりに見えるように動く」と決めておくだけで変わります。

2つに分けて組む

閉店作業は、2つに分けます。

分けるのは4つです。

1つ目は、お客さまがいてもできる作業です。事務作業、裏での準備、在庫の確認。

2つ目は、いなくなってからの作業です。清掃、片づけ、レジ締め。

3つ目は、見えない場所でできる作業です。バックヤード。

4つ目は、翌日に回してよい作業です。

4つに分けて組む区分中身いてもできるバックヤードの作業いなくなってから売り場の片づけ見えない場所事務や補充翌日に回す朝に影響しない作業
いてもできる・いなくなってから・見えない場所・翌日に回すという4つの区分を並べた表

1つ目と3つ目を増やすのが工夫のしどころです。閉店の30分前からバックヤードでできることを進めておくと、最後のお客さまが帰ってからの時間が短くなります。売り場では、いつもどおりに見えるように動きます。

最後のお客さまへの声のかけ方

閉店の時刻が来ても、まだいらっしゃる場合があります。

伝え方は4つです。

1つ目は、早めに伝えることです。「本日は◯時までとなっております」を、時刻の15分前に。

2つ目は、追い出す言い方にしないことです。「ごゆっくりどうぞ」を添えます。

3つ目は、必要なことだけ伝えることです。レジの締めの時刻など。

4つ目は、全員が同じ言い方をすることです。

最後のお客さまへの4つ伝え方中身早めに伝える15分前に一度追い出さないごゆっくりを添える必要なことだけ時刻を1回言い方をそろえる人で変えない
早めに伝える・追い出さない・必要なことだけ・言い方をそろえるという4つの伝え方を並べた表

1つ目が親切です。閉店の時刻ちょうどに言われると、急かされたと感じます。15分前に一度伝えておけば、お客さまも自分で区切りを付けられます。

順番

いなくなってからの作業は、順番を決めておきます。

順番は4段です。

1つ目は、お金に関わることです。レジ締め、売上金の扱い。人数がいるうちにやります。

2つ目は、時間のかかることです。清掃、機械の洗浄。

3つ目は、翌日の準備です。品出し、仕込み。

4つ目は、戸締まりと確認です。

閉店の順番4段1お金人がいるうちに締める2時間のかかること掃除と片づ3翌日の準備朝に要るものを出す4戸締まり順路を決めて回る
お金・時間のかかること・翌日の準備・戸締まりという4段の順番のフロー
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1つ目を早めにやってください。レジ締めは確かめる人がもう1人要ることがあります。人が帰ったあとだと、1人でやることになります。人数がいるうちに済ませる形にしてください。

戸締まりと確認

最後の確認は、順路を決めて回ります。

見るのは4つです。

1つ目は、火と電源です。消したか、切ったか。

2つ目は、水です。蛇口、排水。

3つ目は、施錠です。出入口、裏口、金庫。

4つ目は、人が残っていないかです。

4つ目を必ず見てください。トイレやバックヤードに人が残ったまま施錠することが起きます。声をかけて回るだけです。順路を決めて、毎回同じ道を通ると抜けません。

1人で閉める日

人数が少なく、1人で閉めることがあります。

決めるのは4つです。

1つ目は、1人でやってよい作業の範囲です。

2つ目は、1人ではやらない作業です。現金の確認、高いところの作業。

3つ目は、連絡の方法です。閉め終わったことを誰に伝えるか。

4つ目は、防犯です。戸締まりと、外に出るときの周囲の確認。

2つ目を決めておいてください。1人で現金を数えると、間違いがあったときに確かめようがありません。翌朝に2人で確かめる形にするなど、社内の決まりに沿ってやり方を決めます。

レジ締めとの関係

閉店作業の中で、いちばん間違いが起きやすいのがレジ締めです。

気をつけるのは4つです。

1つ目は、疲れている時間にやることです。間違いが増えます。

2つ目は、急いでいることです。早く帰りたい。

3つ目は、1人でやることです。確かめる人がいません。

4つ目は、違算が出たときの手順です。

4つ目を先に決めておいてください。違算が出たとき、その場で何度も数え直して時間が過ぎることがあります。決められた回数だけ数えて、合わなければ記録して報告する。この形にすると、終わる時刻が読めます。

翌日への引き継ぎ

閉店の担当は、翌朝の人に情報を渡します。

書くのは4つです。

1つ目は、品切れと在庫の状況です。

2つ目は、その日のトラブルです。

3つ目は、やり残した作業です。

4つ目は、翌日に伝えたいことです。

3つ目を隠さずに書いてください。やり残したことを書くと責められる、という空気があると、書かれずに翌朝に発覚します。「終わらなかったことを書いてよい」と決めておくほうが、店全体としては早く回ります。

チェック表を1枚にする

開店と閉店のチェック表は、同じ1枚にすると使いやすくなります。

作るのは4つです。

1つ目は、表の裏表にすることです。開店が表、閉店が裏。

2つ目は、日付と担当を上に書くことです。

3つ目は、引き継ぎの欄を作ることです。

4つ目は、1日1枚にすることです。

3つ目を同じ紙に入れると、書かれるようになります。引き継ぎのノートが別にあると、書きに行くのが面倒で抜けます。閉店のチェックを付ける流れで、そのまま引き継ぎも書ける形にしてください。

閉店後の作業時間を短くする

閉店後の時間が長いと、人件費と、働く人の負担の両方が増えます。

見直すのは4つです。

1つ目は、営業中にできる作業です。手の空いた時間に進めます。

2つ目は、道具と置き場です。取りに行く距離が短いか。

3つ目は、人数の配分です。最後だけ人が多い、または少ない。

4つ目は、やらなくてよい作業です。

1つ目がいちばん効きます。手の空いた時間に少しずつ進めておくと、閉店後がまとまった作業だけになります。「暇なときに何をするか」の一覧を作っておくと、自然に進みます。

忘れ物と落とし物の確認

閉店の見回りは、忘れ物を見つける機会でもあります。

見るのは4つです。

1つ目は、椅子やテーブルの下です。

2つ目は、試着室やトイレです。

3つ目は、レジの周りです。

4つ目は、カートやかごの中です。

見つけたら、その日のうちに記録します。日時、場所、品物、見つけた人。翌日に持ち主から連絡が来ることがあります。記録が無いと、探すところから始まります。保管の場所と期間も決めておいてください。

閉店の時刻と実際の終了

閉店の時刻と、店を出る時刻は別です。

見るのは4つです。

1つ目は、閉店の時刻です。お客さまの入店が終わる時刻。

2つ目は、最後のお客さまが帰る時刻です。

3つ目は、作業が終わる時刻です。

4つ目は、店を出る時刻です。

4つの時刻を書く時刻意味閉店表示している時刻最後の客実際に出られた時刻作業終了片づけが終わった時刻退店施錠して出た時刻
閉店・最後の客・作業終了・退店という4つの時刻を並べた表

2つ目と3つ目の差が、閉店作業の時間です。この差を記録して並べると、曜日や売上によってどう変わるかが見えます。シフトの終わりの時刻を決めるときの根拠にもなります。感覚で「だいたい30分」と決めていた部分が、数字になります。

閉店の作業を分担する

作業を1人が抱えると、その人がいない日に回りません。

やることは4つです。

1つ目は、作業を分けて書き出すことです。

2つ目は、誰ができるかを印で示すことです。

3つ目は、できる人を増やすことです。

4つ目は、1人しかできない作業をなくすことです。

分担を作る4段1書き出す作業を全部並べる2できる人の誰ができる3増やす印の少ない作業から41人作業をなくす危ない作業は2人で
書き出す・できる人の印・増やす・1人作業をなくすという4段のフロー

4つ目を目標にしてください。レジ締めや戸締まりが1人しかできない状態だと、その人が休めません。印の一覧を見て、空欄の多い作業から教える形にすると、少しずつ広がります。

まとめ

閉店作業は、お客さまがいる時間といない時間で分けて組みます。

  • 急かして見えるのは、目の前での片づけ・音・視線の3つ
  • バックヤードでできることを、閉店の30分前から進める
  • 閉店の15分前に一度伝えると、お客さまが自分で区切りを付けられる
  • レジ締めは人数がいるうちに。確かめる人が要ることがある
  • 最後の確認は順路を決めて回る。人が残っていないかを必ず見る

現金や設備の扱いには社内の決まりがあります。手順は社内の担当に確かめてください。

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実際に使える様式が必要な方へ

開店と閉店のチェック表をまとめて整えるなら、商い屋が近道です。

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よくある質問

Q. 閉店の時刻を過ぎてもお客さまがいます。 A. 15分前に一度「本日は◯時までとなっております」と伝えておいてください。時刻ちょうどに言われると急かされたと感じます。「ごゆっくりどうぞ」を添えます。

Q. 片づけをいつから始めますか。 A. バックヤードでできることは30分前から。売り場での片づけは、お客さまがいなくなってからです。目の前で椅子を上げたり商品を下げたりしないでください。

Q. 早く終わりたい気持ちが出てしまいます。 A. 視線や動きに出ます。「お客さまがいるあいだは、いつもどおりに見えるように動く」と決めておくだけで変わります。本人は気づいていないことが多くあります。

Q. レジ締めはいつやりますか。 A. 人数がいるうちです。確かめる人がもう1人要ることがあります。人が帰ったあとだと1人でやることになり、間違いが増えます。

Q. 違算が出て、終わりません。 A. 数える回数を決めておいてください。決められた回数だけ数えて、合わなければ記録して報告する。その場で何度も数え直すと、終わる時刻が読めません。

Q. 1人で閉める日があります。 A. 1人でやってよい作業の範囲を決めてください。現金の確認や高いところの作業は、1人でやらない形にします。翌朝に2人で確かめる方法もあります。

Q. 最後の確認で何を見ますか。 A. 火と電源、水、施錠、人が残っていないかの4つです。順路を決めて毎回同じ道を通ると抜けません。トイレやバックヤードの声かけを忘れないでください。

Q. やり残した作業を書くと責められます。 A. 「終わらなかったことを書いてよい」と決めてください。書かれずに翌朝に発覚するほうが、店全体としては遅くなります。書ける空気を作ることが先です。

Q. 引き継ぎのノートに書くのを忘れます。 A. 閉店のチェック表に引き継ぎの欄を作ってください。別のノートに書きに行くのは面倒で抜けます。同じ紙なら、チェックを付ける流れで書けます。

Q. 翌日に回してよい作業はありますか。 A. 決めておいてください。翌朝の準備に影響しない作業は回せます。ただし回した分は引き継ぎに書いて、翌朝の担当が分かる形にします。

Q. 掃除の音が気になります。 A. お客さまがいるあいだは、音の出る作業をやらないでください。掃除機、シャッター、食器の音は、いちばん急かして聞こえます。閉店後に回してください。

Q. 閉店作業の時間が読めません。 A. チェック表に終わった時刻を書いて、1か月並べてください。曜日や売上の多い日で差が出ます。人の配置や、前日に回せる作業を見直す材料になります。

Q. 閉店後の作業時間が長くなります。 A. 営業中の手の空いた時間に進めてください。「暇なときに何をするか」の一覧を作っておくと、自然に進みます。閉店後はまとまった作業だけになります。

Q. 忘れ物はどう扱いますか。 A. 閉店の見回りで見つけたら、その日のうちに記録してください。日時、場所、品物、見つけた人。翌日に連絡が来ることがあります。保管の場所と期間も決めておきます。

Q. シフトの終わりの時刻をどう決めますか。 A. 最後のお客さまが帰る時刻と、作業が終わる時刻を記録して並べてください。曜日や売上でどう変わるかが見えます。感覚で決めていた部分が数字になります。

Q. 閉店作業が特定の人しかできません。 A. 作業を書き出して、誰ができるかを印で示してください。空欄の多い作業から教えると、少しずつ広がります。1人しかできない作業があると、その人が休めません。

Q. 閉店の時刻を延ばしてほしいと言われました。 A. 作業の時間と人件費を数字で出してください。閉店を30分延ばすと、店を出る時刻は30分以上遅くなります。判断の材料として示せます。