両替と釣銭準備|切らさない持ち方
目次
両替と釣銭準備は、切れてから慌てることが多い業務です。会計の途中で小銭が足りなくなると、その場で動けなくなります。
この記事では、釣銭を切らさない持ち方と、両替の段取りを整理します。足りなくなってから走る話ではなく、切れない形を作る話です。
結論:釣銭は「最低の本数」を決めておく
釣銭準備でいちばん効くのは、金種ごとに最低の本数を決めておくことです。
決めておけば、開店前に数えるだけで足りるかどうかが分かります。足りなければ、その時点で両替に動けます。
ポイントはここです。切れてから動くと、営業中に店を離れることになります。開店前なら、まだ時間があります。
一般には、全体の金額だけを決めている店が多くあります。ただ、金額が足りていても、10円玉だけ切れることが起きます。金種ごとに決める必要があります。
金種ごとの目安
金種ごとの最低本数は、店の客単価と支払い方で変わります。
| 金種 | 切れやすさ | 目安の考え方 |
|---|---|---|
| 1円玉 | 端数の出方で変わる | 価格の末尾を見る |
| 10円玉 | いちばん切れやすい | 多めに持つ |
| 100円玉 | よく出る | 1日の会計数から逆算 |
| 1000円札 | まとまって出る | 高額紙幣の受け取りで消える |
2つ目の10円玉がいちばん切れます。税込みの価格で端数が出る店では、1回の会計で複数枚出ます。
4つ目は、1万円札での支払いが多い日に一気に減ります。曜日や時間帯で偏るので、記録を見ると読めるようになります。
端数の出方を見る
釣銭の減り方は、価格の末尾で決まります。
末尾が0で揃っている店では、1円玉と5円玉はほとんど動きません。税込みで端数が出る店では、1円玉が毎回動きます。
一般には、よく出る商品の税込み価格を10個並べると、どの金種が減るかが分かります。感覚ではなく、価格から読めます。
開店前に数える
釣銭準備は、開店前に数えます。
数えるのは、金種ごとの本数です。金額の合計だけだと、どの金種が足りないかが分かりません。
一般には、コインケースに入れたまま目で見て分かる形にしている店が多くあります。線を引いて、「この線を下回ったら補充」と決めます。
数えた結果は記録に残します。釣銭の準備金は、売上と混ざらない扱いにします。混ざると、レジ締めの計算が合わなくなります。
両替に行く段取り
両替が必要になったら、行く段取りを決めておきます。
決めるのは4つです。どこで両替するか、いくら持って行くか、誰が行くか、いつ行くか。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 場所 | 金融機関、両替機、本部 |
| 金額 | 金種ごとに必要な分 |
| 担当 | 1人で持ち歩かない |
| 時刻 | 混む前に済ませる |
3つ目に注意が要ります。現金を持って外を歩く形になります。金額が大きい場合は、1人で行かない決まりにしている店もあります。
なお、金融機関の両替には手数料がかかる場合があります。回数が増えるほど費用になるので、まとめて両替するほうが安く済みます。
営業中に切れたとき
営業中に切れた場合は、その場でできる手を先に使います。
一般には、次の順で対応します。レジ間で融通する、予備の釣銭から補充する、両替に行く。
1つ目がいちばん早く済みます。レジが複数ある店では、片方に偏ることがよくあります。
どうしても足りない場合は、お客さまに伝えます。「細かいお釣りが切れており、申し訳ございません」と伝えて、別の支払い方法を相談します。
黙って時間をかけないでください。待っている理由が分からないと、不安になります。
予備の釣銭を持つ
予備の釣銭を持っておくと、営業中に走らなくて済みます。
持つ量は、1日分の半分が目安です。多すぎると、保管の手間と盗難の危険が増えます。
保管は、売り場から見えない場所にします。予備の場所を全員が知っている必要はありません。扱う人を決めます。
予備から補充したときは、記録に残します。いつ、いくら、誰が補充したか。残さないと、レジ締めのときに数字が合いません。
高額紙幣の扱い
1万円札での支払いは、釣銭を一気に減らします。
一般には、受け取ったらすぐレジから抜く形が取られています。レジに置く現金の上限を決めている店では、超えた分を回収します。
高額紙幣を受け取るときは、確かめる動作を1つ入れます。金額を声に出す、透かしを見る。疑っているように見えない形で、自然に確かめます。
受け取った金額は、お客さまの前で言葉にします。「1万円お預かりいたします」と言えば、あとから金額の食い違いが起きにくくなります。
両替を頼まれたとき
お客さまから両替を頼まれる場面があります。
一般には、応じないと決めている店が多くあります。理由は2つです。釣銭が減ることと、金額の食い違いが起きやすいこと。
断り方を決めておきます。「申し訳ございません、両替はいたしかねます」で足ります。理由を長く説明しないほうが収まります。
応じる店では、上限と回数を決めます。決めていないと、その場の判断で断ることになり、対応に差が出ます。
記録に残す
釣銭の動きは、記録に残します。
残すのは4つです。日付、金種、動かした量、理由。
溜まると、曜日や時間帯で減り方が違うことが見えます。金曜の夕方に10円玉が切れるなら、その前に補充します。
記録があると、両替の回数も減らせます。必要な量が読めれば、まとめて両替できます。
新しく入った人への渡し方
釣銭の扱いは、新しく入った人が最初に触る現金になります。
渡すのは3つです。開店前に数えること、切れそうなときに誰へ伝えるか、レジを離れるときは引き出しを閉めること。
金額の判断は渡さなくて足ります。足りないと感じたら伝える、という形にしておけば、その先は決めた人が動きます。
レジ締めとの関係
釣銭準備は、レジ締めと組になっています。
締めるときに、翌日の準備金を抜いてから売上を数えるか、売上を全部数えてから準備金を作るかで、手順が変わります。
一般には、準備金を先に分ける形が取られています。売上の金額がそのまま出るので、計算が分かりやすくなります。
| 手順 | 良い点 |
|---|---|
| 準備金を先に分ける | 売上がそのまま出る |
| 売上を全部数えてから | 数える回数が1回で済む |
| 金種ごとに数える | どの金種が足りないか分かる |
| 合計だけ数える | 早いが、金種が分からない |
3つ目をやっておくと、翌日の準備がそのまま終わります。締めのときに数えた本数が、そのまま翌朝の確認になります。
釣銭の渡し方
釣銭は、渡し方でも差が出ます。
一般には、紙幣と硬貨を分けて渡す形が取られています。まとめて渡すと、財布にしまう手間が増えて、後ろが待ちます。
数える動作も決めます。お客さまから見える位置で数えて、金額を声に出します。「1000円のお返しでございます」と言えば、違算が出たときに確かめられます。
両手で渡す、トレーに置く、直接手に渡す。どれにするかを店で決めておくと、対応がそろいます。
硬貨の扱いに関する決まり
支払いで使える硬貨の枚数には、決まりがあるとされています。
一般に、同じ種類の硬貨は20枚までが、法律上の強制通用力の範囲とされています。それを超える分は、受け取りを断ることができるとされています。
ただし、断るかどうかは店の判断です。断る場合の言い方を決めておきます。「恐れ入ります、硬貨でのお支払いは20枚までとさせていただいております」という形です。
判断に迷う場合は、社内の担当か、日本銀行や金融機関の窓口に確かめてください。
釣銭の違算が出たとき
釣銭が合わないときは、その場で何度も数え直さないでください。
数える回数を決めておきます。2回数えて合わなければ、記録して報告する。これで終わりにします。
何度も数え直すと、閉店の時刻が読めなくなります。そして、たいてい何度数えても合いません。
記録に残すのは4つです。日付、金額の差、担当、その日に起きたこと。溜めると、同じ担当ではなく、同じ場面で起きていることが見えます。
釣銭の準備を新しい人に渡す
釣銭の扱いは、新しく入った人が最初に触る現金になります。
渡すのは3つです。開店前に金種ごとに数えること、切れそうなときに誰へ伝えるか、レジを離れるときは引き出しを閉めること。
金額の判断は渡さなくて足ります。足りないと感じたら伝える、という形にしておけば、その先は決めた人が動きます。
数え方も1回見せます。言葉で説明するより、横で1回やって見せるほうが早く覚わります。
キャッシュレスが増えたときの持ち方
現金以外の支払いが増えると、釣銭の減り方が変わります。
減る量が少なくなるぶん、持つ量も減らせます。ただし、通信や端末の不具合で現金に切り替わる場面があるので、ゼロにはできません。
一般には、過去1か月の現金の割合を見て決めます。感覚で減らすと、切れたときに困ります。
記録を見ると、曜日や時間帯で割合が違うことが分かります。現金の多い日だけ多めに持つ、という形にできます。
まとめ
両替と釣銭準備は、金種ごとの最低本数を決めると切れなくなります。
- 金額の合計だけでは足りない。10円玉だけ切れることが起きる
- 減り方は価格の末尾で決まる。よく出る商品の税込み価格を並べると読める
- 開店前に数える。切れてから動くと、営業中に店を離れることになる
- 営業中はレジ間で融通するのがいちばん早い
- 高額紙幣は受け取ったらすぐレジから抜く
現金の保管や運搬の方法には社内の決まりがあります。両替の手数料や、金融機関での手続きについては、社内の担当と取引先の金融機関に確かめてください。
よくある質問
Q. 釣銭をいくら用意すればよいですか。 A. 金額ではなく、金種ごとの本数で決めてください。金額が足りていても、10円玉だけ切れることが起きます。
Q. どの金種が切れやすいですか。 A. 10円玉です。税込みの価格で端数が出る店では、1回の会計で複数枚出ます。
Q. 必要な量をどう読みますか。 A. よく出る商品の税込み価格を10個並べてください。どの金種が減るかが、感覚ではなく価格から読めます。
Q. いつ数えますか。 A. 開店前です。切れてから動くと、営業中に店を離れることになります。金種ごとの本数を数えます。
Q. 準備金と売上を分けるべきですか。 A. 分けてください。混ざるとレジ締めの計算が合わなくなります。
Q. 営業中に切れました。 A. レジ間で融通するのがいちばん早く済みます。レジが複数ある店では、片方に偏ることがよくあります。
Q. どうしても足りません。 A. お客さまに伝えてください。黙って時間をかけないでください。待っている理由が分からないと不安になります。
Q. 予備の釣銭はどれくらい持ちますか。 A. 1日分の半分が目安です。多すぎると保管の手間と盗難の危険が増えます。扱う人を決めてください。
Q. 予備から補充したら記録しますか。 A. いつ、いくら、誰がを残してください。残さないと、レジ締めのときに数字が合いません。
Q. 1万円札を受け取ったらどうしますか。 A. すぐレジから抜いてください。釣銭が一気に減ります。レジに置く上限を決めている店では、超えた分を回収します。
Q. 高額紙幣を確かめたいのですが。 A. 金額を声に出す、透かしを見るなど、疑っているように見えない形で自然に確かめてください。
Q. 受け取った金額を言うべきですか。 A. 「1万円お預かりいたします」と言葉にしてください。あとから金額の食い違いが起きにくくなります。
Q. お客さまに両替を頼まれました。 A. 応じないと決めている店が多くあります。釣銭が減ることと、金額の食い違いが起きやすいことが理由です。
Q. 断り方はどうしますか。 A. 「申し訳ございません、両替はいたしかねます」で足ります。理由を長く説明しないほうが収まります。
Q. 両替の回数を減らせますか。 A. 記録を見て必要な量が読めれば、まとめて両替できます。手数料がかかる場合、回数が増えるほど費用になります。
Q. 締めるときに準備金をどう扱いますか。 A. 先に分けてください。売上の金額がそのまま出るので、計算が分かりやすくなります。
Q. 金種ごとに数えるべきですか。 A. 数えておくと、翌日の準備がそのまま終わります。締めのときの本数が、翌朝の確認になります。
Q. 釣銭の渡し方に決まりはありますか。 A. 紙幣と硬貨を分けて渡してください。まとめて渡すと、財布にしまう手間で後ろが待ちます。金額は声に出します。
Q. 硬貨での支払いは何枚まで受け取りますか。 A. 同じ種類の硬貨は20枚までが強制通用力の範囲とされています。断るかどうかは店の判断です。金融機関の窓口に確かめてください。
Q. 違算が出て終わりません。 A. 数える回数を決めてください。2回数えて合わなければ、記録して報告する。何度数えても、たいてい合いません。
Q. 新しい人に何から教えますか。 A. 開店前に金種ごとに数えること、切れそうなときの伝え先、引き出しを閉めることの3つです。金額の判断は渡さなくて足ります。
Q. 数え方をどう教えますか。 A. 横で1回やって見せてください。言葉で説明するより早く覚わります。
Q. キャッシュレスが増えました。 A. 持つ量は減らせますが、ゼロにはできません。過去1か月の現金の割合を見て決めてください。感覚で減らすと切れます。