お待たせの言葉|見通しを1つ添える
目次
お待たせの言葉は、言っているつもりで伝わっていないことが多い言葉です。「少々お待ちください」とだけ言われても、どれくらい待つのかが分からないままになります。
この記事では、お待たせの言葉に何を添えるかを整理します。謝る言葉を増やす話ではなく、見通しを渡す話です。
結論:お待たせの言葉には見通しを1つ添える
お待たせの言葉でいちばん効くのは、どれくらい待つかを添えることです。
「少々お待ちください」だけでは、5秒なのか10分なのかが分かりません。「2分ほどお待ちいただけますでしょうか」と言えば、待つか出直すかを本人が決められます。
ポイントはここです。不満になるのは待った時間ではなく、見通しが無い時間です。同じ5分でも、分かって待つのと分からずに待つのとでは受け取り方が違います。
一般には、お待たせの言葉を丁寧にする方向で指導されます。ただ、丁寧さを足しても見通しは増えません。添えるものを1つ決めるほうが効きます。
3つの場面で言葉を変える
お待たせの言葉は、待たせ始め、待っている途中、終わったあとの3つで変わります。
| 場面 | 言葉 | 添えるもの |
|---|---|---|
| 待たせ始め | 少々お待ちください | どれくらい待つか |
| 途中 | お待たせしております | いま何をしているか |
| 終わり | お待たせいたしました | なし |
2つ目を言わない人が多くいます。待たせ始めに一度言ったきり黙っていると、進んでいるかどうかが分かりません。
3つ目は、待った時間が短くても必ず言います。言わずに続きから入ると、待っていた時間が無かったことになります。
「少々」が伝える長さ
「少々お待ちください」の「少々」は、受け取る人によって長さが違います。
一般に、言った側は1分か2分のつもりで、聞いた側は30秒ほどを想像します。このずれが、待たされたという感覚を作ります。
数字を入れると、ずれが消えます。「2分ほど」「5分ほど」と言い切ります。読めないときは、長めに言うほうが安全です。3分と言って5分かかるより、5分と言って3分で終わるほうが印象がよくなります。
理由を添えるか
待たせる理由を添えるかどうかは、場面で変わります。
添えたほうがよいのは、待つ時間が長くなるときです。「在庫を確認してまいりますので」と言えば、時間がかかることが伝わります。
添えないほうがよいのは、こちらの都合が理由のときです。「人手が足りず」「機械の調子が悪く」は、お客さまには関係がありません。言い訳に聞こえます。
| 添えてよい理由 | 添えないほうがよい理由 |
|---|---|
| 在庫を確認している | 人手が足りない |
| 別の担当を呼んでいる | 機械の調子が悪い |
| 準備に時間がかかる | 慣れていない |
| 順番に対応している | 忙しい |
4つ目の「忙しい」は、目の前で見えていても言葉にしないでください。見えていることと、言われることは別です。
途中で一度声をかける
待たせている途中で、一度声をかけます。
かけるのは、最初に言った時間を過ぎそうなときです。「2分ほど」と言って3分経ちそうなら、その前に一声入れます。
一般には、進み具合を1つ添える形が取られています。「ただいま確認しております。もう少々お待ちください」と言えば、止まっていないことが伝わります。
黙ったまま時間が過ぎると、忘れられていると受け取られます。これがいちばん苦情につながる形です。
見通しが立たないとき
どれくらいかかるか読めない場面があります。そのときは、読めないことを伝えます。
「お時間がかかる見込みでございます」と伝えて、待つか、あとで来るか、連絡するかを選んでもらいます。
選択肢を出さずに待たせ続けると、待った時間が全部無駄になる可能性が残ります。出直せると分かれば、その場で判断できます。
連絡する形にするなら、いつまでに連絡するかを決めて伝えます。「本日中にお電話いたします」まで言わないと、待つことに変わりありません。
電話でのお待たせの言葉
電話では、保留にする前に一言入れます。
黙って保留にすると、切れたと思われます。「少々お待ちください」を言ってから保留にします。
保留の時間は、30秒が目安とされています。超えそうなら一度戻って、「もう少々お時間をいただきます」と伝えます。
| 保留の長さ | 受け取られ方 |
|---|---|
| 30秒まで | 気にならない |
| 1分 | 長く感じる |
| 2分以上 | 切ろうか迷う |
戻ったときは必ず「お待たせいたしました」から始めます。いきなり答えから入ると、待った時間が無視されます。
列になっているとき
複数の人を待たせているときは、全体に一度伝えます。
個別に声をかけると、時間がかかって列が進みません。「お待たせしております。順にご案内いたします」と、列全体に一度言います。
一般には、最後尾の人にだけ個別に声をかける形が取られています。並んだ直後は不安が大きく、ここで一声あるかどうかで印象が変わります。
待たせたあとに謝りすぎない
待たせたあとに謝る言葉を重ねると、かえって気まずくなります。
「申し訳ございません」を3回言われると、待った側は恐縮します。一般には、「お待たせいたしました」の1回で足ります。
長く待たせた場合だけ、「大変お待たせいたしました」と程度を足します。言葉を増やすのではなく、程度を変える形です。
そのあとは、すぐに本題に入ります。謝罪を続けると、さらに時間がかかります。
待っている人の居場所を作る
言葉の前に、待つ場所そのものを整えると待ち方が変わります。
椅子がある、荷物が置ける、時計が見える。この3つがあると、同じ時間でも待ちやすくなります。
通路で待たせないでください。人の流れの中に立っていると、落ち着きません。待つ場所が決まっていない店では、そこから決めます。
言葉を3つだけ決めておく
お待たせの言葉は、3つ決めれば足ります。
待たせ始め、途中、終わり。この3つを1枚に書いて、レジと電話のそばに貼ります。
新しく入った人には、終わりの言葉から渡します。「お待たせいたしました」が自然に出るようになれば、それだけで印象が変わります。
記録に残す
待たせた時間が長かった場面は、記録に残しておきます。
残すのは3つです。日時、どれくらい待たせたか、何が理由か。
1か月並べると、同じ時間帯と同じ理由が出ます。言葉で吸収し続けるのではなく、原因を減らす材料になります。
言葉づかいの教育として渡した内容も、日付とあわせて残します。誰にどこまで渡したかが分かると、次に足すものが決まります。
待たせる前に見通しを作る
お待たせの言葉の前に、待たせる場面そのものを減らせることがあります。
減らせるのは、準備で吸収できる場面です。釣銭が足りない、袋が切れている、端末が立ち上がっていない。どれも開店前に確かめれば起きません。
一般には、待たせた記録を見ると、同じ理由が並びます。言葉を整える前に、この並びを見るほうが効きます。
言葉で吸収するのは、準備では避けられない場面だけにします。在庫の確認、責任者の判断、他の方の対応。この3つは待たせることが前提です。
待たせた相手が複数いるとき
待たせている相手が2人以上いるときは、全員に声をかけます。
1人に対応しているあいだ、残りの人は放っておかれた形になります。「順にお伺いいたします」を全員に一度言うだけで変わります。
順番が前後する場合は、その理由を先に伝えます。「お先にこちらのお客さまのご会計を承ります」と言えば、飛ばされたことになりません。
黙って順番を変えると、その場で指摘を受けることがあります。指摘されてから説明するより、先に言うほうが早く収まります。
待たせたことを記録に残す形
待たせた場面の記録は、書式を決めると続きます。
書くのは3つだけです。時刻、待たせた長さ、理由。名前や詳細は要りません。
置き場所は、レジのそばにします。事務所に取りに行く形にすると、忙しい日ほど書かれません。
一般には、1か月分を並べて山になっている時間帯を見ます。人の配置を変えるか、準備の時間を動かすか、判断の材料になります。
待ち時間を短く感じてもらう形
待ち時間そのものを変えられない場面では、感じ方を変える方向に動きます。
一般に効くのは3つです。進み具合が見えること、することがあること、あとどれくらいかが分かること。
売り場なら、近くの棚を見てもらう案内が使えます。「よろしければこちらをご覧いただきながらお待ちください」と言うだけで、立ち尽くす時間が減ります。
番号札や順番の表示がある店では、今どこまで進んでいるかが見える形にします。数字が動くだけで、止まっていないことが伝わります。
まとめ
お待たせの言葉は、見通しを1つ添えると変わります。
- 不満になるのは待った時間ではなく、見通しが無い時間
- 「少々」は言った側と聞いた側で長さが違う。数字を入れる
- 理由は添えてよいものと、言い訳に聞こえるものがある
- 伝えた時間を過ぎる前に一度声をかける
- 謝る言葉を重ねない。「お待たせいたしました」の1回で足りる
待つ場所の椅子や通路の扱いには、建物の決まりが関わることがあります。避難の経路をふさぐ形にならないよう、判断に迷う場合は所轄の消防署に確かめてください。
よくある質問
Q. 「少々お待ちください」だけでよいですか。 A. 見通しを1つ添えてください。「2分ほどお待ちいただけますでしょうか」と言えば、待つか出直すかを本人が決められます。
Q. どれくらいかかるか分かりません。 A. 読めないことを伝えて、待つか、あとで来るか、連絡するかを選んでもらってください。選択肢がないと、待った時間が無駄になる可能性が残ります。
Q. 時間を長めに言うべきですか。 A. 読めないときは長めが安全です。3分と言って5分かかるより、5分と言って3分で終わるほうが印象がよくなります。
Q. 待たせている途中で何か言うべきですか。 A. 最初に言った時間を過ぎそうなら、その前に一声入れてください。黙ったまま時間が過ぎると、忘れられていると受け取られます。
Q. 理由は言ったほうがよいですか。 A. 在庫の確認や担当を呼んでいる場合は添えてください。人手が足りない、忙しいは言い訳に聞こえます。
Q. 見えていても「忙しい」と言ってはいけませんか。 A. 見えていることと、言われることは別です。言葉にすると言い訳になります。状況ではなく、進み具合を伝えてください。
Q. 電話の保留はどれくらいまでですか。 A. 30秒が目安です。超えそうなら一度戻って「もう少々お時間をいただきます」と伝えてください。
Q. 保留にする前に何か言いますか。 A. 「少々お待ちください」を言ってから保留にしてください。黙って保留にすると、切れたと思われます。
Q. 保留から戻ったとき何と言いますか。 A. 「お待たせいたしました」から始めてください。いきなり答えから入ると、待った時間が無視されます。
Q. 列になっているときはどうしますか。 A. 全体に一度伝えてください。個別に声をかけると、時間がかかって列が進みません。最後尾の人にだけ個別に一声入れます。
Q. 待たせたあと、何回謝りますか。 A. 「お待たせいたしました」の1回で足ります。3回謝られると、待った側が恐縮します。長かった場合だけ程度を足します。
Q. 謝ったあとどうしますか。 A. すぐに本題に入ってください。謝罪を続けると、さらに時間がかかります。
Q. 待つ場所がありません。 A. 椅子、荷物が置ける場所、時計の3つがあると待ちやすくなります。通路で待たせないでください。人の流れの中では落ち着きません。
Q. 言葉をいくつ覚えればよいですか。 A. 3つです。待たせ始め、途中、終わり。新しく入った人には、終わりの言葉から渡してください。
Q. 待たせる場面が減りません。 A. 日時、待たせた長さ、理由を記録してください。1か月並べると同じ時間帯と同じ理由が出ます。言葉で吸収し続けないでください。
Q. 待たせる場面そのものを減らせますか。 A. 釣銭、袋、端末の立ち上げは開店前に確かめれば起きません。言葉で吸収するのは、準備で避けられない場面だけにしてください。
Q. 待たせている人が2人以上います。 A. 全員に一度「順にお伺いいたします」と言ってください。1人に対応しているあいだ、残りは放っておかれた形になります。
Q. 順番を変えるときはどうしますか。 A. 理由を先に伝えてください。黙って変えると、その場で指摘を受けることがあります。先に言うほうが早く収まります。
Q. 記録は何を書きますか。 A. 時刻、待たせた長さ、理由の3つです。レジのそばに置いてください。取りに行く形にすると、忙しい日ほど書かれません。
Q. 待ち時間を短く感じてもらうには。 A. 進み具合が見えること、することがあること、あとどれくらいかが分かることの3つです。近くの棚を見てもらう案内だけでも、立ち尽くす時間が減ります。
Q. 番号札は効きますか。 A. 今どこまで進んでいるかが見える形にしてください。数字が動くだけで、止まっていないことが伝わります。
Q. 待たせた記録を誰が見ますか。 A. 責任者がまとめて月に1回見てください。山になっている時間帯が出れば、人の配置か準備の時間を動かす材料になります。
Q. 「お待たせいたしました」を忘れます。 A. 戻ったときの第一声に固定してください。短い待ち時間でも必ず言います。言わずに続きから入ると、待った時間が無かったことになります。