接客のNGワード|言い換えの一覧
目次
接客のNGワードは、一覧で覚えようとすると数が多すぎて頭に残りません。しかも、どれも「使ったら即アウト」というものではなく、場面によって許されるため、線が分かりにくくなります。
この記事では、NGワードをなぜ避けるのかで3つに分けます。理由で束ねると、一覧を覚えなくても判断できるようになります。
結論:NGワードは3つの理由に分かれる
接客で避けたい言葉は、避ける理由で分けると3種類になります。
| 種類 | なぜ避けるか | 例 |
|---|---|---|
| 意味が伝わらない | 可否が読み取れない | 大丈夫です、難しいです |
| 相手を下に置く | 評価や指示に聞こえる | ご苦労さま、分かりましたか |
| 責任をぼかす | 誰がやるのか消える | 〜になります、〜のほう |
いちばん実害が大きいのは1つ目です。伝わらない言葉は、あとで行き違いになります。3つ目は気にする人がいる程度で、意味は通じます。
直す順番も、この重さの順になります。全部を一度に直そうとすると詰まるので、上から手をつけます。
NGワード1:意味が伝わらないもの
これが最優先です。言い方の問題ではなく、内容が伝わらないので事故につながります。
| 避けたい | 何が問題か | 言い換え |
|---|---|---|
| 大丈夫です | 要るのか要らないのか不明 | 「袋はご入用ですか」 |
| 難しいです | できるのかできないのか不明 | 「お受けしかねます」 |
| ちょっと | 程度が不明 | 「5分ほど」 |
| たぶん・思います | 確定していない情報を渡す | 「確認いたします」 |
| すみません | 謝罪か呼びかけか不明 | 「申し訳ございません」 |
「大丈夫です」はお客様も使う言葉なので、こちらから聞くときは避けたほうが確実です。「袋は大丈夫です」と言われた場合も、要るのか要らないのか確かめる必要があります。
「難しいです」は外国人のお客様に特に伝わりません。日本語では断りの意味になりますが、字義どおりに受け取られると「可能だが手間がかかる」と読まれます。
「たぶん」「思います」は、間違っていたときにこちらの責任になります。確認する形に置き換えるほうが、結果として早く終わります。
NGワード2:相手を下に置くもの
意味は通じますが、言われた側が引っかかる言葉です。
| 避けたい | どう聞こえるか | 言い換え |
|---|---|---|
| ご苦労さまです | 目上から目下へ | お疲れさまです |
| 分かりましたか | 理解を試している | ご不明な点はございませんか |
| 〜してください | 指示に聞こえる | 〜していただけますか |
| 了解しました | 同僚に使う言い方 | かしこまりました |
| 〜ですよね? | 同意を強いる | 〜でしょうか |
「分かりましたか」がいちばん出やすいものです。説明したあとに確かめたくなるのですが、理解度を試す形になります。不明点を尋ねる形にすると角が取れます。
「〜してください」は、依頼の場面で使うと指示に聞こえます。クッション言葉を前に置くだけでも変わります。「恐れ入りますが、こちらにご記入ください」なら自然です。
NGワード3:責任や主体をぼかすもの
意味は通じるので実害は小さいのですが、気にする人が一定数います。
| 避けたい | 言い換え |
|---|---|
| こちらになります | こちらでございます |
| よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか |
| 〇円からお預かりします | 〇円をお預かりします |
| お会計のほう | お会計 |
| させていただきます | いたします |
このあたりはバイト敬語と重なります。詳しくはバイト敬語とはに整理しました。
店のマニュアルに書かれている場合もあるので、個人の判断で変えないほうが安全な項目でもあります。統一されていることのほうが、細かい正しさより効きます。
場面によってはNGにならない言葉
NGワードとして挙げられるものでも、場面が合えば正しい使い方になります。一覧で機械的に覚えると、ここで外します。
| 言葉 | NGになる場面 | 正しく使える場面 |
|---|---|---|
| こちらになります | 商品を渡すとき | 「奥が試着室になっております」 |
| よろしかったでしょうか | 目の前の確認 | 「前回はMサイズでよろしかったでしょうか」 |
| お預かりします | ちょうどの金額 | 釣りが出るとき |
| 難しいです | 断るとき | 社内で可否を相談するとき |
「なる」は変化を表す語なので、実際に変化するものには使えます。時制が合っていれば過去形も自然です。
だから覚えるのは一覧ではなく、「いま何を言おうとしているか」です。変化しないものに「なる」を使っていないか、目の前のことを過去形にしていないか。そこだけ見れば判断できます。
強い言葉と、避けたい言い回し
言葉そのものより、言い回しで角が立つ場面もあります。
- 「それはできません」→「あいにく、こちらでは承っておりません」
- 「決まりですので」→「恐れ入りますが、〇〇のため、こちらのご案内となります」
- 「他のお客様からは言われません」→ 言わない
- 「前にも申し上げましたが」→ 言わない
下の2つは、事実であっても言わないほうが収まります。指摘そのものを否定する形になり、話が事実関係から感情に移ります。
「決まりですので」だけで終えると、説明を放棄した形に見えます。理由を短く添えると受け取られ方が変わります。
NGワードを、店でそろえる
NGワードは個人で直すより、店でそろえたほうが効きます。人によって言い方が違うと、お客様は対応が変わったと感じます。
進め方は次の形が扱いやすくなります。
- 場面を洗い出す(迎える・受ける・金銭・断る・見送る)
- 場面ごとに使う言い方を1つ決める
- 紙にしてレジの内側など目に入る場所に貼る
- 新しく入った人にはその紙で渡す
貼り出すときは、正しい形だけを書きます。誤例を並べると、そちらを覚えてしまうことがあります。
全員が一度に変わるわけではありません。数週間かけて入れ替わるものなので、途中で戻っても指摘しすぎないほうが定着します。
NGワードは、社内での言い方にも出る
接客のNGワードは、お客様に向けたものだけではありません。お客様に聞こえる範囲での社内の会話にも出ます。
| 聞こえて困る言い方 | どう聞こえるか |
|---|---|
| 「あの人、まだ見てる」 | 監視されていると分かる |
| 「これ、売れ残り」 | 商品の価値を下げる |
| 「今日ヒマだね」 | 店が選ばれていない印象 |
| 「また来た」 | 常連を歓迎していない |
| 「早く終わらないかな」 | 接客が義務に見える |
売り場での会話は、想像以上に聞こえています。棚1つ隔てただけでは遮られません。
とくに商品を下げる言い方は、聞いたお客様がその商品を買わなくなります。在庫や値下げの話は、売り場でしないという決めごとにできます。
お客様のことを指して話す場面も避けます。「あちらのお客様」と敬称を付ける習慣にしておくと、聞こえても失礼になりません。
NGワードを直すと、社内の言い方も整う
言葉遣いを整えると、お客様向けだけでなく社内の空気も変わります。
指示の出し方が分かりやすい例です。
| 指示 | 言い換え |
|---|---|
| 早くして | あと〇分で終わりそうですか |
| 違う | こちらのやり方だと早く終わります |
| なんでやってないの | どこで止まっていますか |
| それ前に言ったよね | もう一度確認しましょう |
「なんでやってないの」は、理由を聞いているようで責めています。「どこで止まっていますか」に変えると、実際に必要な情報が出てきます。
新しく入った人への指摘も同じです。場所と理由を言えば、人格への評価になりません。言い方の型は、お客様向けと社内向けで共通する部分が多くあります。
NGワードは、1つずつ入れ替える
接客のNGワードを直すとき、一覧を見ながら全部を直そうとすると詰まります。話しながら正しい形を探すことになり、間が空きます。
進め方は次のとおりです。
- 自分がよく使う言い方を3つ思い出す
- そのうち1つだけ、言い換えを決める
- 1週間、その場面だけ意識する
- とっさに出るようになったら次へ
1週間に1つで足ります。10個直すのに10週間かかりますが、詰まらずに入れ替わります。
入れ替わったかどうかは、忙しいときに出るかで分かります。落ち着いているときに言えても、混雑時に元に戻るなら、まだ型として入っていません。
自分がよく使う言い方が分からない場合は、金銭授受・確認・断りの3場面を思い出します。NGワードはこの3つに集中しています。
NGワードの直し方は、店で共有すると早い
言葉遣いは、個人で直すより店でそろえたほうが早く定着します。周りが使っていると、自然に移ります。
そろえ方の手順です。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1 | 場面を洗い出す(5つ程度) |
| 2 | 場面ごとに使う言い方を1つ決める |
| 3 | 紙にしてレジの内側に貼る |
| 4 | 新しく入った人にはその紙で渡す |
| 5 | 数週間かけて入れ替わるのを待つ |
5を待てるかどうかが要点です。全員が一度に変わるわけではないので、途中で戻っても指摘しすぎないほうが定着します。
貼り出すときは、正しい形だけを書きます。誤例を並べると、そちらを覚えてしまうことがあります。
店長が決める話になりますが、現場から案を出す形にすると進みやすくなります。実際にどの言い方が使われているかは、売り場にいる人のほうがよく分かります。
NGワードは、直そうとしすぎない
接客のNGワードは、意識し始めると自分の言葉が全部気になる段階が来ます。ここで止まると、かえって接客が硬くなります。
直す価値が高いのは、意味が変わるものだけです。それ以外は、気になったときに変えれば足ります。
やりすぎのサインがいくつかあります。話しながら言葉を探して間が空く、言い直しが増える、教科書のような話し方になる。どれも、お客様から見ると不自然です。
詰まるくらいなら、多少崩れた形で言い切るほうが伝わります。言葉を選んでいる時間は、無反応に見えます。
人の言い方が気になり始めた場合も、自分の分だけ整えるほうが収まります。店の決まりとして扱うかは店長の判断なので、個人に言うより店長に相談するのが順番になります。
NGワードは、業種で扱いが違う
接客のNGワードは、業種によって許容の幅が違います。
カジュアルな飲食店では、硬い敬語のほうが浮くことがあります。「かしこまりました」より「承知しました」が合う店もあります。
逆に、百貨店やサロンでは、細かい言い回しまで見られます。「こちらになります」が指摘されるのは、こうした業態が中心です。
自分の店がどちらに近いかは、先輩の言い方で分かります。全員が使っている言い方は、その店の標準になっています。
一覧の正しさより、店の水準に合っているかを先に見るほうが実務に合います。
よくある質問
NGワードを全部覚える必要がありますか
ありません。避ける理由で3つに分けて、意味が伝わらないものから直すと、少ない量で効きます。
「大丈夫です」はなぜ避けるのですか
肯定と否定のどちらにも取れるためです。「袋は大丈夫です」は要るとも要らないとも読めます。可否を伝える場面では具体的に言うほうが確実です。
店のマニュアルにNGワードが載っています
店の決まりが優先します。気になる場合は個人で変えず、店長に伝える形になります。言葉遣いは統一されていることのほうが効きます。
お客様に指摘されました
その場で短く言い直して、用件に戻ります。長く説明しないほうが収まります。
全部直そうとすると言葉に詰まります
1週間に1つだけ変える形にすると詰まりません。意味が変わる「大丈夫です」と「すみません」から始めると、効き目が大きくなります。
社内の会話も気をつけるべきですか
売り場での会話は想像以上に聞こえています。在庫や値下げの話、お客様を指す言い方は、売り場でしないと決めておけます。
後輩への言い方も同じですか
型は共通します。場所と理由を言えば、人格への評価になりません。「なんでやってないの」より「どこで止まっていますか」のほうが、必要な情報が出ます。
どれから直せばいいですか
「大丈夫です」と「すみません」からです。意味が変わる2つなので、実害がいちばん大きくなります。
周りが使っていると戻ってしまいます
店でそろえると早く定着します。紙にして貼るところまでやると、新しく入った人にも渡せます。
一覧を覚えたほうがいいですか
覚えるより、避ける理由で3つに分けるほうが応用がききます。場面によっては正しい使い方になるので、一覧だけだと外します。
指摘されると落ち込みます
言葉遣いの指摘は、言い方の型を1つ入れ替えるだけの話です。人格への評価ではありません。
店のマニュアルが古い形です
個人で変えず、店長に伝えます。統一されていることのほうが、細かい正しさより効きます。
言い換えを覚えられません
一度に1つで足ります。1週間に1つなら詰まらずに入れ替わります。
まとめ
接客のNGワードは、避ける理由で3つに分かれます。意味が伝わらないもの、相手を下に置くもの、責任をぼかすもの。実害の大きさもこの順です。
最優先は「大丈夫です」「難しいです」「たぶん」のように、可否や確度が伝わらない言葉です。ここは言い方の問題ではなく、行き違いの原因になります。
一覧で機械的に覚えると、場面によっては正しい使い方まで避けることになります。変化するものに「なる」を使っているか、目の前のことを過去形にしていないか。そこだけ見れば判断できます。