言葉遣い・敬語実務2026.09.17 公開KO-11

接客のNGワード|言い換えの一覧

目次

接客のNGワードは、一覧で覚えようとすると数が多すぎて頭に残りません。しかも、どれも「使ったら即アウト」というものではなく、場面によって許されるため、線が分かりにくくなります。

この記事では、NGワードをなぜ避けるのかで3つに分けます。理由で束ねると、一覧を覚えなくても判断できるようになります。

場面別のフレーズをまとめて見たい方は「接客の言葉遣い一覧」へ。→ 接客の言葉遣い

結論:NGワードは3つの理由に分かれる

接客で避けたい言葉は、避ける理由で分けると3種類になります。

種類なぜ避けるか
意味が伝わらない可否が読み取れない大丈夫です、難しいです
相手を下に置く評価や指示に聞こえるご苦労さま、分かりましたか
責任をぼかす誰がやるのか消える〜になります、〜のほう

いちばん実害が大きいのは1つ目です。伝わらない言葉は、あとで行き違いになります。3つ目は気にする人がいる程度で、意味は通じます。

直す順番も、この重さの順になります。全部を一度に直そうとすると詰まるので、上から手をつけます。

避ける理由で3つに分ける伝わらない大丈夫です/難しいです下に置くご苦労さま/分かりましたかぼかす〜になります/〜のほう
NGワードを避ける理由で3つに分ける

NGワード1:意味が伝わらないもの

これが最優先です。言い方の問題ではなく、内容が伝わらないので事故につながります。

避けたい何が問題か言い換え
大丈夫です要るのか要らないのか不明「袋はご入用ですか」
難しいですできるのかできないのか不明「お受けしかねます」
ちょっと程度が不明「5分ほど」
たぶん・思います確定していない情報を渡す「確認いたします」
すみません謝罪か呼びかけか不明「申し訳ございません」

「大丈夫です」はお客様も使う言葉なので、こちらから聞くときは避けたほうが確実です。「袋は大丈夫です」と言われた場合も、要るのか要らないのか確かめる必要があります。

「難しいです」は外国人のお客様に特に伝わりません。日本語では断りの意味になりますが、字義どおりに受け取られると「可能だが手間がかかる」と読まれます。

「たぶん」「思います」は、間違っていたときにこちらの責任になります。確認する形に置き換えるほうが、結果として早く終わります。

NGワード2:相手を下に置くもの

意味は通じますが、言われた側が引っかかる言葉です。

避けたいどう聞こえるか言い換え
ご苦労さまです目上から目下へお疲れさまです
分かりましたか理解を試しているご不明な点はございませんか
〜してください指示に聞こえる〜していただけますか
了解しました同僚に使う言い方かしこまりました
〜ですよね?同意を強いる〜でしょうか

「分かりましたか」がいちばん出やすいものです。説明したあとに確かめたくなるのですが、理解度を試す形になります。不明点を尋ねる形にすると角が取れます。

「〜してください」は、依頼の場面で使うと指示に聞こえます。クッション言葉を前に置くだけでも変わります。「恐れ入りますが、こちらにご記入ください」なら自然です。

NGワード3:責任や主体をぼかすもの

意味は通じるので実害は小さいのですが、気にする人が一定数います。

避けたい言い換え
こちらになりますこちらでございます
よろしかったでしょうかよろしいでしょうか
〇円からお預かりします〇円をお預かりします
お会計のほうお会計
させていただきますいたします

このあたりはバイト敬語と重なります。詳しくはバイト敬語とはに整理しました。

店のマニュアルに書かれている場合もあるので、個人の判断で変えないほうが安全な項目でもあります。統一されていることのほうが、細かい正しさより効きます。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

言葉遣いを店の決まりとして残したい方へ。接客マニュアルや従業員教育記録の様式は、業種別にそろえている商い屋にあります。

商い屋で様式をさがす

場面によってはNGにならない言葉

NGワードとして挙げられるものでも、場面が合えば正しい使い方になります。一覧で機械的に覚えると、ここで外します。

言葉NGになる場面正しく使える場面
こちらになります商品を渡すとき「奥が試着室になっております」
よろしかったでしょうか目の前の確認「前回はMサイズでよろしかったでしょうか」
お預かりしますちょうどの金額釣りが出るとき
難しいです断るとき社内で可否を相談するとき

「なる」は変化を表す語なので、実際に変化するものには使えます。時制が合っていれば過去形も自然です。

だから覚えるのは一覧ではなく、「いま何を言おうとしているか」です。変化しないものに「なる」を使っていないか、目の前のことを過去形にしていないか。そこだけ見れば判断できます。

同じ言葉でも場面で変わる言葉NGになる場面正しく使える場面こちらになります商品を渡すとき奥が試着室になっておりますよろしかったでしょうか目の前の確認前回はMサイズでお預かりしますちょうどの金額釣りが出るとき難しいです断るとき社内で可否を相談
同じ言葉でもNGになる場面とならない場面

強い言葉と、避けたい言い回し

言葉そのものより、言い回しで角が立つ場面もあります。

  • 「それはできません」→「あいにく、こちらでは承っておりません」
  • 「決まりですので」→「恐れ入りますが、〇〇のため、こちらのご案内となります」
  • 「他のお客様からは言われません」→ 言わない
  • 「前にも申し上げましたが」→ 言わない

下の2つは、事実であっても言わないほうが収まります。指摘そのものを否定する形になり、話が事実関係から感情に移ります。

「決まりですので」だけで終えると、説明を放棄した形に見えます。理由を短く添えると受け取られ方が変わります。

NGワードを、店でそろえる

NGワードは個人で直すより、店でそろえたほうが効きます。人によって言い方が違うと、お客様は対応が変わったと感じます。

進め方は次の形が扱いやすくなります。

  1. 場面を洗い出す(迎える・受ける・金銭・断る・見送る)
  2. 場面ごとに使う言い方を1つ決める
  3. 紙にしてレジの内側など目に入る場所に貼る
  4. 新しく入った人にはその紙で渡す

貼り出すときは、正しい形だけを書きます。誤例を並べると、そちらを覚えてしまうことがあります。

全員が一度に変わるわけではありません。数週間かけて入れ替わるものなので、途中で戻っても指摘しすぎないほうが定着します。

NGワードは、社内での言い方にも出る

接客のNGワードは、お客様に向けたものだけではありません。お客様に聞こえる範囲での社内の会話にも出ます。

聞こえて困る言い方どう聞こえるか
「あの人、まだ見てる」監視されていると分かる
「これ、売れ残り」商品の価値を下げる
「今日ヒマだね」店が選ばれていない印象
「また来た」常連を歓迎していない
「早く終わらないかな」接客が義務に見える

売り場での会話は、想像以上に聞こえています。棚1つ隔てただけでは遮られません。

とくに商品を下げる言い方は、聞いたお客様がその商品を買わなくなります。在庫や値下げの話は、売り場でしないという決めごとにできます。

お客様のことを指して話す場面も避けます。「あちらのお客様」と敬称を付ける習慣にしておくと、聞こえても失礼になりません。

NGワードを直すと、社内の言い方も整う

言葉遣いを整えると、お客様向けだけでなく社内の空気も変わります。

指示の出し方が分かりやすい例です。

指示言い換え
早くしてあと〇分で終わりそうですか
違うこちらのやり方だと早く終わります
なんでやってないのどこで止まっていますか
それ前に言ったよねもう一度確認しましょう

「なんでやってないの」は、理由を聞いているようで責めています。「どこで止まっていますか」に変えると、実際に必要な情報が出てきます。

新しく入った人への指摘も同じです。場所と理由を言えば、人格への評価になりません。言い方の型は、お客様向けと社内向けで共通する部分が多くあります。

売り場で聞こえて困る言い方商品を下げるこれ売れ残り聞いた人が買わなくなるお客様を指すあの人まだ見て監視されていると分かる店の空気今日ヒマだね選ばれていない印
売り場で聞こえて困る5つの言い方

NGワードは、1つずつ入れ替える

接客のNGワードを直すとき、一覧を見ながら全部を直そうとすると詰まります。話しながら正しい形を探すことになり、間が空きます。

進め方は次のとおりです。

  1. 自分がよく使う言い方を3つ思い出す
  2. そのうち1つだけ、言い換えを決める
  3. 1週間、その場面だけ意識する
  4. とっさに出るようになったら次へ

1週間に1つで足ります。10個直すのに10週間かかりますが、詰まらずに入れ替わります。

入れ替わったかどうかは、忙しいときに出るかで分かります。落ち着いているときに言えても、混雑時に元に戻るなら、まだ型として入っていません。

自分がよく使う言い方が分からない場合は、金銭授受・確認・断りの3場面を思い出します。NGワードはこの3つに集中しています。

NGワードの直し方は、店で共有すると早い

言葉遣いは、個人で直すより店でそろえたほうが早く定着します。周りが使っていると、自然に移ります。

そろえ方の手順です。

段階やること
1場面を洗い出す(5つ程度)
2場面ごとに使う言い方を1つ決める
3紙にしてレジの内側に貼る
4新しく入った人にはその紙で渡す
5数週間かけて入れ替わるのを待つ

5を待てるかどうかが要点です。全員が一度に変わるわけではないので、途中で戻っても指摘しすぎないほうが定着します。

貼り出すときは、正しい形だけを書きます。誤例を並べると、そちらを覚えてしまうことがあります。

店長が決める話になりますが、現場から案を出す形にすると進みやすくなります。実際にどの言い方が使われているかは、売り場にいる人のほうがよく分かります。

1週間に1つずつ入れ替える1思い出すよく使う言い方を3つ21つ決める言い換えを決める31週間その場面だけ意識する4次へとっさに出たら移る詰まらずに入れ替わる
1週間に1つずつ入れ替える

NGワードは、直そうとしすぎない

接客のNGワードは、意識し始めると自分の言葉が全部気になる段階が来ます。ここで止まると、かえって接客が硬くなります。

直す価値が高いのは、意味が変わるものだけです。それ以外は、気になったときに変えれば足ります。

やりすぎのサインがいくつかあります。話しながら言葉を探して間が空く、言い直しが増える、教科書のような話し方になる。どれも、お客様から見ると不自然です。

詰まるくらいなら、多少崩れた形で言い切るほうが伝わります。言葉を選んでいる時間は、無反応に見えます。

人の言い方が気になり始めた場合も、自分の分だけ整えるほうが収まります。店の決まりとして扱うかは店長の判断なので、個人に言うより店長に相談するのが順番になります。

NGワードは、業種で扱いが違う

業種で許容の幅が違うカジュアルな飲食硬い敬語は浮く承知しましたが合う店も小売・標準かしこまりまし標準的な水準百貨店・サロン細かい言い回しまで見られるこちらになりますが指摘される
業種で変わる許容の幅

接客のNGワードは、業種によって許容の幅が違います。

カジュアルな飲食店では、硬い敬語のほうが浮くことがあります。「かしこまりました」より「承知しました」が合う店もあります。

逆に、百貨店やサロンでは、細かい言い回しまで見られます。「こちらになります」が指摘されるのは、こうした業態が中心です。

自分の店がどちらに近いかは、先輩の言い方で分かります。全員が使っている言い方は、その店の標準になっています。

一覧の正しさより、店の水準に合っているかを先に見るほうが実務に合います。

よくある質問

NGワードを全部覚える必要がありますか

ありません。避ける理由で3つに分けて、意味が伝わらないものから直すと、少ない量で効きます。

「大丈夫です」はなぜ避けるのですか

肯定と否定のどちらにも取れるためです。「袋は大丈夫です」は要るとも要らないとも読めます。可否を伝える場面では具体的に言うほうが確実です。

店のマニュアルにNGワードが載っています

店の決まりが優先します。気になる場合は個人で変えず、店長に伝える形になります。言葉遣いは統一されていることのほうが効きます。

お客様に指摘されました

その場で短く言い直して、用件に戻ります。長く説明しないほうが収まります。

全部直そうとすると言葉に詰まります

1週間に1つだけ変える形にすると詰まりません。意味が変わる「大丈夫です」と「すみません」から始めると、効き目が大きくなります。

社内の会話も気をつけるべきですか

売り場での会話は想像以上に聞こえています。在庫や値下げの話、お客様を指す言い方は、売り場でしないと決めておけます。

後輩への言い方も同じですか

型は共通します。場所と理由を言えば、人格への評価になりません。「なんでやってないの」より「どこで止まっていますか」のほうが、必要な情報が出ます。

どれから直せばいいですか

「大丈夫です」と「すみません」からです。意味が変わる2つなので、実害がいちばん大きくなります。

周りが使っていると戻ってしまいます

店でそろえると早く定着します。紙にして貼るところまでやると、新しく入った人にも渡せます。

一覧を覚えたほうがいいですか

覚えるより、避ける理由で3つに分けるほうが応用がききます。場面によっては正しい使い方になるので、一覧だけだと外します。

指摘されると落ち込みます

言葉遣いの指摘は、言い方の型を1つ入れ替えるだけの話です。人格への評価ではありません。

店のマニュアルが古い形です

個人で変えず、店長に伝えます。統一されていることのほうが、細かい正しさより効きます。

言い換えを覚えられません

一度に1つで足ります。1週間に1つなら詰まらずに入れ替わります。

まとめ

接客のNGワードは、避ける理由で3つに分かれます。意味が伝わらないもの、相手を下に置くもの、責任をぼかすもの。実害の大きさもこの順です。

最優先は「大丈夫です」「難しいです」「たぶん」のように、可否や確度が伝わらない言葉です。ここは言い方の問題ではなく、行き違いの原因になります。

一覧で機械的に覚えると、場面によっては正しい使い方まで避けることになります。変化するものに「なる」を使っているか、目の前のことを過去形にしていないか。そこだけ見れば判断できます。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

言葉遣いを店の共通ルールにしたい方へ。接客マニュアルや従業員教育記録の様式は、業種別にそろえている商い屋にあります。

商い屋で様式をさがす

関連記事